【事例あり】Web広告における個人情報(PII)の活用方法
世界的にプライバシー保護の要請が高まり、Cookieの規制が強化されています。そのため、Web広告に活用できるデータの幅が狭くなり、広告運用者には、Cookieレスの環境で計測を維持することが求められるようになりました。
本記事では、Web広告におけるPII(個人を特定もしくは特定可能にする情報)の活用方法について紹介します。
PIIを活用する際の課題や留意点も紹介し、事例では、Meta広告でPIIを活用した成果を紹介します。
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目次[非表示]
- 1.PIIとは
- 1.1.PIIの例
- 2.Web広告におけるPIIの活用
- 2.1.PIIの活用が求められている背景
- 2.2.PIIを活用する際の課題
- 2.3.PIIを活用する際の留意点
- 3.事例
- 4.まとめ
PIIとは
PIIとは、「Personally Identifiable Information」の略語で、個人を特定、もしくは特定を可能にする情報を指します。
PIIの例
PIIには、主に次のような情報が含まれます。
- 氏名
- 住所
- 電話番号
- 生年月日
- メールアドレス
- マイナンバー
- 社会保障番号
- パスポート番号
- 運転免許証番号
PIIは、プライバシー保護とデータセキュリティの観点から、慎重に取り扱う必要があります。
Web広告におけるPIIの活用
PIIは、Web広告にも活用されています。
PIIの活用が求められている背景
プライバシー保護の要請の高まりを受けて、Cookie規制が進んでいます。Cookieとは、Webサイトを閲覧したユーザーのログインID、アクセス履歴、訪問回数などの情報をブラウザに保存する仕組みのことです。
Cookieの活用により、Webブラウザを一度閉じたとしても、再度ブラウザを開くと、IDやパスワードを再入力せずにWebサイトにログインすることができます。
Web広告においては、Cookieは特定のユーザーを追跡する目的で活用されていました。しかし、Cookie規制が進み、広告効果の計測においてCookieの情報を活用できなくなると、ユーザーの識別が難しくなります。
その結果、精度の高いターゲティングが難しく、広告効果の向上を目指すための十分な情報を取得しにくくなります。
このようなCookie規制による影響を軽減する目的で、Web広告においてPIIの活用が求められています。PIIを活用することで、Cookieから取得できなくなった情報を補える場合があります。
直近のCookie規制の状況は、こちらの記事で詳しく紹介しています。
PIIを活用する際の課題
Web広告にPIIを活用する際には、、さまざまな課題もあります。
情報漏えいのリスクがあるため、PIIをWeb広告に活用することに消極的な広告主も多いと考えられます。
また、デジタルマーケティング担当者のなかでもPIIの活用に消極的な方もいます。なぜなら、PIIをWeb広告に活用した際の変化を具体的に説明することが難しく、加えてPIIの活用にあたって、Webサイトの管理者や法務部門などとの連携に伴う調整時間が発生するためです。
PIIを活用する際の留意点
Web広告にPIIを活用する際、Webサイトのプライバシーポリシーや利用規約、会員規約などの変更が必要になることがあります。
プライバシーポリシーや利用規約、会員規約の変更を目的として行う、法務部門とのコミュニケーションについては、Think with Googleに掲載された事例を参考にすることをおすすめします。
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事例
ここからは、業務効率化のためのツールを販売するクライアントが、Web広告にPIIを活用した事例を紹介します。
課題
Meta広告を運用していたクライアントは、Cookie規制の影響が予想されることから、Web広告にPIIを活用する必要があると考えていました。一方で、PIIを活用することによる広告効果の改善効果が不透明だとも考えていました。
施策
本事例では、クライアントの課題を解決するために、PIIをWeb広告に活用した場合における改善効果の明確化を目指しました。
また、本事例では、コンバージョンAPI(※1)を活用して、メールアドレス、電話番号、会員ID、性別、生年月日、居住地域などの情報をMeta広告のサーバーに送信し、広告で活用できる状態にしました。送信の際、PIIはハッシュ化(※2)されるため、漏えいリスクはありません。
※1 コンバージョンAPI:API(Application Programming Interface:ソフトウェアやプログラム、Webサービス同士を連携する仕組み)を活用して、広告主のサーバーからプラットフォーマーのサーバーに直接データを送信する仕組み
※2 ハッシュ化:データを不規則な文字列に変換すること
結果
このように情報漏えいのリスクに備えたうえで、Meta広告でPIIを活用したところ、PIIを活用する前と比較して、CPA(コンバージョン単価)が66%に低下し、コンバージョン数は152%増加しました。
PIIの活用により、広告効果の向上に活用できる情報量が増加し、高い精度でのターゲティングができるようになったためと考えられます。
これまで計測に活用できていなかった、例えば異なるブラウザを経由した場合におけるコンバージョンデータなどを把握できるようになったため、広告予算に関する投資判断もこれまで以上に正確にできるようになりました。
前述の通り、コンバージョンAPIを活用する場合、PIIをハッシュ化して媒体に共有することができます。そのため、コンバージョンAPIを導入されているお客さまには、Web広告におけるPIIの活用の検討をおすすめします。
その他Meta広告に関する記事はこちらをご覧ください。
まとめ
本記事では、Web広告におけるPIIの活用について紹介しました。
事例では、コンバージョンAPIを活用して、情報漏えいリスクに対処したうえで、Meta広告でPIIを活用できる環境を整えたことで、CPAは66%に低下し、コンバージョン数は152%に上昇しました。
Web広告にPIIを活用する際は、Webサイトの会員規約の変更などが求められる場合があります。広告成果の改善をお考えのお客さまは、マーケティング担当者や法務部門と連携を図ったうえで、PIIを活用できる環境を整えることをおすすめします。
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