【事例あり】事業KPIにヒットするCV地点で広告運用の最適化を促進するVBB(バリューベースドビッディング)とは?
Google広告やYahoo!広告をはじめとするWeb広告のKPI(重要業績評価指標)と入札戦略が合っていない場合、Web広告の効率が低下します。
本記事では、自動入札戦略の1つである「VBB(Value Based Bidding:価値に基づく入札戦略)」を紹介します。
VBBは、金融業界や自動車業界、不動産業界のように高単価で購入頻度の低い商材を扱う業界でのWeb広告運用に大きな成果を発揮する可能性があります。
Google広告やYahoo!広告でもVBBを活用できるため、ビジネスを成長させる戦略の1つとして選択肢に入れるのがよいと考えています。
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目次[非表示]
- 1.”高単価で購入頻度の低い商材”を扱う業界の特徴
- 2.VBBとは?
- 2.1.VBBの目的
- 2.2.VBBに期待される効果
- 2.3.VBBの実装が効果的なパターン
- 2.4.VBBを実施するうえで注意したいポイント
- 3.検討期間が長い商材向けの「ONE's Data(※)」のAI予測
- 4.事例
- 4.1.事例1:不動産業界での活用事例
- 4.2.事例2:金融業界での活用事例
- 5.まとめ
”高単価で購入頻度の低い商材”を扱う業界の特徴
金融業界や自動車業界、不動産業界などは、商品やサービスの単価が高く、顧客による購入の頻度は低いと考えられます。これらの業界では、商品やサービスの購入に次のようなプロセスがあります。
1.オンラインで来店申し込みや資料請求
2.説明会への参加
3.オフラインでの面談や店舗での接客
4.購入
法人向けのサービスを提供する業界も同様のプロセスを有しています。はじめにオンラインでホワイトペーパーをダウンロードし、アンケートなどから見込み顧客の情報を入手し、営業がアポイントを取り実際の商談に発展するケースがよく見られます。
これらの業界に共通する特徴の1つは、CV(コンバージョン)地点が1つではなく複数存在していることです。これらの業界でWeb広告を運用する際、MCV(マイクロコンバージョン)地点を広告運用の最適化のためのポイントと設定する場合が多くみられます。そのため、オンラインとオフラインを組み合わせた販売プロセスを構築することが重要だと考えられます。
Web広告の運用を行う際に、オフラインにおけるCVを考慮せずオンライン上のMCV地点のみを評価すると、オンラインとオフラインを通した効果的な運用の妨げとなる場合があります。
これらの特徴から、金融業界や自動車業界、不動産業界などでWeb広告を運用するマーケターには、次のような課題が生じることが多いです。
オフライン上でのCVにつながる可能性の高いユーザーへ、広告配信を寄せていきたい
オンライン上でのCV数は増えているが、オンライン施策がオフラインでのCVに結び付かない
Web広告のROI(投資利益率)が目標値と合わない
オンライン上にCV地点が複数あるにも関わらず、全てを一律の評価基準で評価している
事業のKPIに対応しているオフライン上でのCVを媒体の最適化に活用したい
事業のKPIに近いCV地点で広告運用の最適化ができていない
VBBにはこれらの悩みを解決できる可能性があります。
VBBとは?
VBB(Value Based Bidding:価値に基づく入札戦略)とは、「CVの種類ごとに価値を変動させることで、価値が高いCVが予測されるユーザーに合わせて、広告媒体の入札を自動で最適化する広告運用手法」を指します。
VBBの目的
VBBの目的は「CVの種類ごとに価値を変動させることで、事業KPI(売上など)に対応したCV地点においてCVしやすいユーザーへ広告媒体の配信を寄せること」です。
VBBでは、事業KPIに対応したCVの価値を高く設定します。オンラインとオフラインでマーケティングが分断されている場合は、オンラインとオフラインの情報の紐づけを行い、それぞれの情報に適切な価値を設定し、各広告媒体と連携することが重要になると考えられます。
VBBに期待される効果
VBBの実施により、事業のKPIに対応したCV地点におけるCVR(コンバージョン率)の向上、CPA(コンバージョン単価)の抑制という効果が期待できます。また、CVRが向上したりCPAが抑制されたりした結果、売上の増加につながる場合もあります。
VBBの実装が効果的なパターン
VBBの実装が効果的なパターンには、次の2つがあります。
ホームページ上に複数のCV地点があるパターン
次の図は、オプトのホームページにおける「お問い合わせ」ですが、CV地点が5つ存在しており、それぞれCVの意味が異なります。このようなケースで、各CVの価値に差を付けると、事業のKPIをより達成しやすくなります。
以下では、ホームページ上に複数のCV地点があるケースを用いて、VBBを実施しない場合と実施した場合の違いを紹介します。
上記図の左側はVBBを実施していないパターンです。CV地点は資料請求と申し込みの2つがありますが、CVの価値の比重を変えていないため、2地点ともCV価値が同じ1として評価され、媒体側も同じ価値として学習を行います。
その結果、配信する広告媒体は、資料請求につながりやすいユーザーと、申し込みにつながりやすいユーザーの双方に同様の配信をしていきます。資料請求につながりやすいユーザーのなかには、資料請求はするが申し込みはしないというユーザーもいます。
上記図の右側はVBBを実施しているパターンです。資料請求の価値を1として評価し、申し込みの価値を5に設定し、2つのCVの評価に差を付けています。これは、資料請求よりも申し込みの方が、事業のKPIにとって価値があると考えられるためです。
CVの種類によって異なる価値を与えることで、広告を配信する媒体側もCVの価値が異なっている前提で学習を進めます。その結果、申し込みにつながりやすいユーザーに対して、媒体の入札が強まり、より広告が配信されるようになります。
マーケティング施策がオンラインとオフラインで分断されているパターン
次の図のように、オンライン上で一定のプロセスまでを実施し、その後のプロセスがオフラインに移行するビジネスモデルの場合、マーケティングはオンラインとオフラインで分断されてしまいます。
このようなケースの場合、VBBを活用する際に、CDP(カスタマーデータプラットフォーム)※1を用いて、オンライン上でのCVで取得したメールアドレスや電話番号などの情報と、オフライン上でのCVで取得したメールアドレスや電話番号などの情報を紐づけます。そのうえで、オンライン上のCVとオフラインでのCVに適切な比重で価値を設定します。
例えば、次の図のようにオンラインのCVの価値を「1」と設定し、オフラインのCVの価値を「20」と設定します。これにより、オフラインでのCVを目的とした広告配信を強化することができます。
※1 顧客から許諾を得て取得した、顧客一人ひとりの属性や行動データを管理・統合するためのデータプラットフォームです。顧客から許諾を得て取得した、企業が管理する顧客接点に関わる情報を顧客IDで統合し、顧客体験向上に向けたマーケティング活用を目的としています。
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VBBを実施するうえで注意したいポイント
オフラインCVを連携してVBBを実施する場合は、オフラインCVのインポート期間は、媒体のアトリビューション期間に準ずる必要があります。例えば、Google広告の場合、デフォルトでクリックスルーのアトリビューション期間が30日間のため、その期間内にオフラインCVをインポートする必要があります。
この期間を過ぎてオフラインCVをインポートしても、媒体上でオフラインCVを計測することはできません。そのため、検討期間が長い金融商材や自動車などの商材に関しては、オフライン上のCVに適切な価値を設定することが難しい場合があります。
検討期間が長い商材向けの「ONE's Data(※)」のAI予測
検討期間が長い商材の場合、オフライン上のCVに適切な価値を設定するのが難しいという問題を、オプトは、統合データ活用プラットフォーム「ONE's Data」の「AI予測」という機能を用いて解決しています。
「ONE's Data」のAI予測は、MCVしたユーザーの属性データや行動データからCVしたユーザーの予測LTV(顧客生涯価値)の値を算出して、その値をCVの価値として媒体側と連携することで紐づけを実現しています。
(※)Google Cloud PlatformのBigQueryを最大限活用した、データ活用プラットフォーム。ウェブやアプリでのユーザー行動を独自で開発したタグや各社計測パートナーと連携して計測可能にするとともに、各社の所有するデータプラットフォームや基幹システムのデーターベースと接合し、企業が保持する1st Party Data(ファーストパーティデータ/企業が自社で蓄積したユーザーデータのこと)のサイロ化を解決いたします。
広告プラットフォーマーのサーバーサイドAPIに広く対応しており、蓄積、分析、施策活用まで一元管理いたします。(詳細)https://onesdata.com/
事例
ここからは、オンラインとオフラインのCVを連携してそれぞれのCVの重み付けを行い、VBBを実施した企業の事例を紹介します。
事例1:不動産業界での活用事例
はじめに紹介する不動産業界の企業は、商材について次のようなCVポイントがありました。
Web上での申し込み(オンライン)
店舗来店(オフライン)
成約(オフライン)
この企業は、Web上での申し込みをオフラインでの成約につなげる点に課題がありました。
そこでオプトは、リスティング広告においてONE’s Dataを活用し、オンライン上でのCVとオフライン上でのCVの紐づけを行い、成約への転換率を基準に、Web上での申し込みと店舗来店の価値を設定しました。そのうえで、ROAS(目標広告費用対効果)運用を実施しました。
その結果、VBB実施前と比べると成約率が33%上昇し、成約におけるCPAが17%改善しました。
事例2:金融業界での活用事例
次に紹介する金融業界の企業は、商材について次のようなCVポイントがありました。
Web上での申し込み(オンライン)
審査(オフライン)
応諾(オフライン)
こちらの企業も、Web上での申し込みをオフラインでの応諾につなげる点に課題がありました。こうした課題を解決するために、Web上での申し込みの価値を「1」、応諾の価値を「2」と設定し、ONE’s Dataを活用して運用を実施しました。オフラインで起こる応諾のデータをONE’s Dataにインポートする頻度は1週間に1回でした。運用は、CPA(目標コンバージョン単価)運用をしていました。
これに対して、オプトは、はじめに応諾のデータのインポートを毎営業日に変更しました。これにより応諾率が14%上昇したことを確認し、CPA運用をROAS運用に変更しました。
その結果、最終的に応諾率が18%上昇しました。
まとめ
本記事では、VBBについて紹介しました。VBBは、「CVの種類ごとにCVの価値を変動させることで、価値の大きいCVが予測されるユーザーに合わせて、広告媒体の入札の最適化を目指す広告運用手法」です。
CVの重み付けを行うことにより、複数のCVを適切に評価したうえで、広告媒体の機械学習に活用できるようになります。
VBBの実施により、事業のKPIに対応したCV地点におけるCVRの向上、CPAの抑制という効果が期待できます。また、CVRが向上したりCPAが抑制される結果、売上の増加につながる場合もあります。
しかし、オフライン上のCVを連携してVBBを実施する場合、広告媒体のアトリビューション期間を考慮する必要があります。
検討期間が長い商材に関して、オプトでは「ONE's Data」の AI予測というソリューションを提供しています。
「ONE's Data」のAI予測は、MCVしたユーザーの属性データや行動データからCVしたユーザーの予測LTVの値を算出して、その値をCVの価値として媒体側と連携することで重みづけを実現する機能です。
MCVの数は増えているが、オフライン上のCVにはつながらないというお悩みを抱えている場合、オフライン上のCVを連携してCVの重みづけを行い、VBBの実施を検討してみてはいかがでしょうか。
ご興味がございましたらお気軽にご相談ください。
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