【事例あり】Google広告|拡張コンバージョンのメリットと実装方法
近年、世界的なプライバシー保護の潮流により、Cookieの規制が強化されたことで、Cookieレスの環境で計測を維持する対策が求められるようになりました。
Googleでは、2024年1月より、全世界のGoogle Chrome ユーザーの 1% に対してCookieを規制するテストが始まっています。本テストは、2024 年後半※に予定されている、全てのユーザーに対するサードパーティークッキーの使用を段階的に廃止する動きにつながります。
※2024年4月末時点で2025年へ延期されました。
このように、ユーザーのプライバシーを守りつつ、Cookieレスの環境で計測を維持する方法の一つに、拡張コンバージョンの導入があります。
本記事では、Google広告におけるターゲティングの精度向上と、CPA(コンバージョン単価)改善が期待できる拡張コンバージョンについてお話します。
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目次[非表示]
- 1.拡張コンバージョンとは
- 1.1.従来のコンバージョン計測と拡張コンバージョンの違いと仕組み
- 1.2.拡張コンバージョンの導入方法(Googleタグマネージャー)
- 1.2.1.広告管理画面上での設定
- 1.2.2.GTMの設定
- 1.2.3.実装を検証する
- 2.事例
- 3.ONE's Dataによる「拡張コンバージョンAPI」導入支援
- 4.まとめ
拡張コンバージョンとは
拡張コンバージョンは、既存のコンバージョンタグを補完するための機能です。拡張コンバージョンでは、自社のWebサイトで取得したファーストパーティのコンバージョンデータを用いて、広告をクリックしたユーザーと実際にコンバージョンしたユーザーを紐付けて補完を行います。
拡張コンバージョンを活用することで、サードパーティークッキーを活用できない場合であっても、媒体が保持するユーザーデータやアカウントの情報をもとに、より正確なコンバージョン計測ができます。
媒体において、ファーストパーティのコンバージョンデータも活用できるため、広告配信の最適化を目指すことが可能で、CPAの改善が期待できます。
従来のコンバージョン計測と拡張コンバージョンの違いと仕組み
従来のGoogle広告では、サイトに設置したタグがCookieにクリックID(※1)を書き込みます。それを元にクリックされた広告を特定し、サイトを訪問したユーザーの情報、ユーザーがクリックした広告の情報を計測するGoogle タグと商材の購入や資料のダウンロードなどのコンバージョンを計測するイベントスニペットを使用してコンバージョンを計測していました。
しかし、Cookie規制されたことで、クリックIDをGoogleに送信できなくなるため、ユーザーがどの広告をクリックしたのか分からなくなります。つまり、本来はコンバージョンとして計上されるべきユーザーの行動が計上されなくなります。
拡張コンバージョンを活用した計測は、次の仕組みに基づいて行われます。
自社のWebサイトで取得したファーストパーティのコンバージョンデータと、Google アカウントのデータを照合し、より正確なコンバージョンの計測が期待できます。
ただし、このような仕組み上、登録、申し込み、購入など、コンバージョンに際してユーザーのデータを取得できる場合のみ機能します。そのため、拡張コンバージョンを活用する際は、コンバージョン時に次のようなユーザーのデータを取得する必要があります。
- メールアドレス
- 氏名
- 住所
- 電話番号
これらの情報を取得することで、拡張コンバージョンが機能し、Cookieの使用が制限された状況でコンバージョンを補完できます。
※1クリックID:広告がクリックされると URL に渡されるパラメータで、これにより広告に関連付けられたキャンペーンやクリックの属性を識別できる機能を有するもの
拡張コンバージョンの導入方法(Googleタグマネージャー)
Google広告の拡張コンバージョンの導入には、GTM(Googleタグマネージャー)(※2)を使用する方法とグローバルサイトタグを使用する方法があります。
そのため、事前に「グローバルサイトタグ」もしくは「Googleタグマネージャー」をWebサイトに実装する必要があります。
また、拡張コンバージョンの導入に際しては、ユーザーに対して実施する「プライバシーに関する確認」に留意しましょう。拡張コンバージョンを導入した場合、ユーザーに関するファーストパーティのコンバージョンデータを、広告媒体であるGoogleに共有するためです。そのため、企業のポリシーとしてどこまでの情報をGoogleに共有できるのか事前に決定し、プライバシーポリシーに記載するなど、ユーザーに事前の同意を得る対応が求められます。
拡張コンバージョンを導入する際は、次のような対応が必要になる場合があります。
- Webサイトのソースコードを修正する作業
- Webサイトの表示崩れなどの不具合の修正
上記対応が必要になるため、必要に応じて開発チームに相談しながらの導入をおすすめします。
以下では、多くの企業に導入されているGTMを使用した拡張コンバージョンの実装方法を紹介します。GTMを使用して拡張コンバージョンを導入する際は、Google広告の管理画面の操作を行った後に、GTMの設定を行います。
※2Googleタグマネージャー:Webサイトやモバイルアプリに含まれるタグを管理するシステム
広告管理画面上での設定
はじめに、Google広告の管理画面を次の手順で操作します。
- Google 広告の管理画面で「目標」アイコンのGoals Iconをクリック
- セクションメニューで「コンバージョン」プルダウンをクリック
- 「設定」をクリック
- 「拡張コンバージョン(ウェブ向け)」パネルを展開
- 「拡張コンバージョン(ウェブ向け)」をオンにする
- コンプライアンスに関する注意を確認。拡張コンバージョンを有効にするには、Google のポリシーを遵守し、拡張コンバージョンの使用に対して Google 広告データ処理規約が適用されることを確認する
- 「同意する」をクリックして、規約に同意
- プルダウンをクリックして、ユーザー提供データの設定方法と管理方法を選択
- 「Googleタグマネージャー」を選択
- 「Google タグ マネージャーに移動」をクリック
どのタグ設定方法を選択すればよいか分からない場合は、「どの方法を使用すればよいですか?」をクリックしてください。Webサイトのドメインを入力して「URL を確認」をクリックすると、設定方法の候補が表示されます。
GTMの設定
Google広告の管理画面における設定が完了した後は、GTMで拡張コンバージョンを実装するための設定を行います。GTMでユーザーにより提供されるデータを取得する方法には、次の三つがあります。
- ①ユーザーにより提供されるデータを自動検出
- ②CSS(Cascading Style Sheets)セレクタ(※3)を指定する
- ③Webサイトにコードスニペット(※4)を追加する
①は実装こそ容易ですが、取得できるデータの信頼性が劣るといわれています(
※5)。また、③を行うためにはプログラミングに関する専門知識が必要であり、実装が煩雑になります。そのため、今回は「②CSSセレクタを指定する方法」について、次の二つの手順に分けて説明します。
- コンバージョンページにおける拡張コンバージョンのフィールドを見付ける
- 拡張コンバージョンのCSSセレクタを確認し、Google広告に入力する
※3 CSSセレクタ:CSSによるデザイン指定をどのHTML要素に適用するかを指定するのに用いられるもの。
※4 コートスニペット:プログラムを構成するコード内に挿入し、特定の機能を実現するコードのまとまり。
※5 Google広告ヘルプ「Google タグ マネージャーを使って拡張コンバージョン(ウェブ向け)を設定する」
コンバージョンページにおける拡張コンバージョンのフィールドを見付ける
はじめに、拡張コンバージョンのフィールドを次の手順で見付けます。
- Chromeブラウザで、Google 広告アカウントとコンバージョンページを別のタブで開く
- そのページに表示されている、Google に送信したい顧客データを特定する(たとえば購入を完了した顧客向けのサンクスページに、顧客のメールアドレスが表示されていることが考えられる)
- コンバージョンページに存在する顧客データを特定したら、次はそのCSSセレクタをコピーし、Google広告に入力する
この手順でGoogleに送信する顧客データの特定が完了します。
拡張コンバージョンのCSSセレクタを確認し、Google広告に入力する
続いて、次の手順でCSSセレクタをGoogle広告に入力します。
- 「CSSセレクタまたは JavaScript 変数を指定します」を選択
- 「カスタマイズ」をクリック
- 実装する予定の顧客データ(メールアドレス、氏名と住所など)のチェックボックスをオンにする
- CSSセレクタを選択
- 別のタブでコンバージョン ページに移動
- コンバージョンページで、拡張コンバージョンで送信したい顧客データが表示されている箇所を右クリックして「検証」を選択
- Chrome ブラウザ内でChromeデベロッパーツールが起動
- ハイライト表示されているコードにカーソルを合わせ、右クリック
- 「Copy」までスクロールし、「Selector」を選択
- Google 広告の管理画面で、そのテキストを対応するフィールドに貼り付ける
- 他の顧客データ(メールアドレス、氏名、住所など)についても、このセクションの手順を繰り返す
- Google 広告で「保存」をクリック
ここまでの設定を行うと、拡張コンバージョンの実装が完了します。
実装を検証する
拡張コンバージョンは、導入から約 72 時間後に参照できるようになります。次の手順で、「Google広告のタグ診断レポート」から、拡張コンバージョンの実装を確認できます。
- Google広告アカウントにログイン
- アカウントの右上にあるツールアイコンをクリックし、「測定」の「コンバージョン」をクリック
- 拡張コンバージョンを有効にしたコンバージョンアクションをクリック
- 上部のページメニューで「診断」を選択すると、拡張コンバージョンタグの診断レポートと拡張コンバージョンの指標が各セクションに表示される
- ヘルスチェックの診断結果を確認
正確なコンバージョンの計測を目指すために、正しく実装されているか確認することをおすすめします。
事例
ここでは、拡張コンバージョンの実装によりコンバージョンを補完した事例を紹介します。
課題
クライアントは、多品目を取り扱うECサイトを運営する企業です。
さまざまな媒体でCookieの規制が強化されるなかで、顧客のプライバシーを守りつつ、従来と同様の正確さでコンバージョンを計測したいと考えていました。
施策
クライアントは、課題解決のために検索連動型広告、P-MAXキャンペーン(※6)などを実施しているアカウントに拡張コンバージョンを導入しました。
※6 P-MAXキャンペーン:「Performance Maxキャンペーン」の略で、一つのキャンペーンから全てのGoogle広告の広告枠にアクセスできる仕組み。
結果
拡張コンバージョンの導入後、媒体の管理画面で拡張コンバージョンの影響を示すレポートを確認したところ、コンバージョン数に1.2%の伸長がありました。
拡張コンバージョンの導入により、機械学習のもととなるコンバージョンデータの量が増加し、最適化が進んだため、コンバージョン数にポジティブな影響があったと考えられます。
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ONE's Dataによる「拡張コンバージョンAPI」導入支援
本記事で紹介してきたように、拡張コンバージョンの導入により、正確なコンバージョンの計測が期待できます。しかし、実装には専門知識が必要で、工数もかかります。
拡張コンバージョンの実装を容易にしたいと考える方は、オプトが提供する「ONE's Data」の活用の検討をおすすめします。
ONE's Dataは、オプトが開発・提供している、統合データ活用プラットフォームです。
ONE's Dataを導入いただくと、コンバージョンデータの補完に対して次のようなメリットがあります。
- 各ツールに点在するコンバージョンデータを統合できる
- 計測できるデータ量を増やし、広告成果の最適化を目指せる
- 素早く、容易に、低価格でコンバージョンを補完できる
- Google以外のプラットフォーマーの仕様変更にも対応できる
Cookieの規制によるコンバージョンデータの不足、データの分断を解決し、蓄積したデータを広告やレポートへの活用ができるツールです。
まとめ
Cookieレスの規制が強化されている環境では、ユーザーのプライバシーを守りつつ、計測を維持する対策が求められています。そのような状況で、Google広告を効果的に活用するためには、既存のコンバージョンタグを補完するための機能である、拡張コンバージョンの導入がおすすめです。
導入により、自社のWebサイトで取得したファーストパーティのコンバージョンデータと、Google アカウントのデータを照合し、より正確なコンバージョンの計測が期待できます。
本記事で紹介したように、実際に、拡張コンバージョンを導入して、コンバージョン数が伸長した事例もあります。
また、オプトが開発・提供する統合データ活用プラットフォームONE's Dataを導入いただくと、素早く、容易に、低価格で拡張コンバージョンを実装できます。Cookieレス環境において、正確にコンバージョンを計測したいと考えている方は、お問い合わせください。
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