【事例あり】X(旧Twitter)広告のコンバージョンAPIを実装するメリットとは
Cookie(クッキー)とは、Webサイトを閲覧したユーザーのログインID、アクセス履歴、訪問回数などの情報を端末上のWebブラウザに保存する仕組みを指します。
昨今、プライバシー保護の潮流により、Googleの3rd Party Cookie(※1)の完全廃止や、AppleのIDFA(※2)利用制限をはじめとするCookie規制が強化されたことで、Web広告の広告効果の計測において情報取得の精度に影響が出ています。
広告効果の計測において、Cookieの情報が引き継がれなくなると、ブラウザからユーザーの情報を引き継げなくなり、広告媒体におけるユーザーの判別が難しくなります。その結果、リターゲティング広告など、顧客接点を増やし売上拡大を目指していたマーケティング手法が難しくなり、さらには広告効果の最適化を目指すための十分な情報を取得できなくなる可能性があります。
このようななか、各プラットフォーマーはさまざまな対策をとっています。そのうちの一つがCookieを使わずにコンバージョンを計測する手法である「コンバージョンAPI(※3) 」です。
本記事では、X(旧Twitter)におけるコンバージョンAPIについてお話します。昨今のXの動向にも触れつつ、XにおけるコンバージョンAPIの特徴や二つの活用事例を詳しくお話します。
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目次[非表示]
- 1.X(旧Twitter)とは
- 2.XにおけるコンバージョンAPIとは
- 3.事例
- 3.1.医薬品製造・EC販売関連企業における改善事例
- 3.1.1.施策と結果
- 3.2.エステ関連企業における改善事例
- 3.2.1.施策と結果
- 4.ONE's Dataを介してコンバージョンAPIを導入
- 5.まとめ
※1 3rd Party Cookie :訪問したサイト以外の「第三者」ドメインが発行するCookieのこと。これを使うと、ドメインをまたいだ広告出稿や効果計測が可能となります。
※2 IDFA:Identifier for Advertisersの略で、Appleが端末に割り当てるデバイスID
※3 コンバージョンAPI:API(Application Programming Interface:ソフトウェアやプログラム、Webサービス同士を連携する仕組み)を活用して、広告主のサーバーからプラットフォーマーのサーバーに直接データを送信する仕組み。
X(旧Twitter)とは
Xは、アメリカのカリフォルニア州に本社を置く企業です。2022年10月に、米起業家のイーロン・マスク氏によって、X(旧Twitter)が買収されました。その影響で、Xにはさまざまな変化が起こっています。
イーロン・マスク氏は、Xの収益を2028年までに264億ドルに増やし、同年の広告収入を120億ドルに拡大すると述べています。また、2021年に2億1700万人だった総ユーザー数を、2025年には約6億人、2028年には9億人超にまで増やす計画もあります(※4)。
このようにXには、今後もさまざまな変化が起こると考えられます。
※4 The New York Times「Inside Elon Musk’s Big Plans for Twitter」
XにおけるコンバージョンAPIとは
ここまで紹介した通り、広告媒体の観点から見た際にも、Xにはさまざまな変化が起こっています。
媒体自体の変化に加えて、Cookieの規制も強化されているため、Xにおいても広告効果を正確に計測し、広告配信の最適化を目指すためには対策が求められます。
そこで、各プラットフォーマーが導入しているのが、Cookieを使わずに広告のコンバージョンを計測する手法である「コンバージョンAPI」です。Xにおいても、2023年よりコンバージョンAPIのベータ版が提供されています。コンバージョンAPIを活用することで、Webサイトにおけるユーザーの行動などの情報を、広告主のサーバーからXのサーバーに直接共有ができます。
ここからは、XのコンバージョンAPIについてお話します。
コンバージョンAPIを導入するメリット
コンバージョンAPIにおける計測では、Cookieを使用しません。そのため、Cookieの規制によって計測が難しくなったコンバージョンデータを、ユーザーのプライバシーを保護しつつ補完でき、正確なデータ計測が期待できます。
このようなコンバージョンAPIを使用すると、次のメリットを得られます。
- コンバージョンAPIによりCookieを介さずに、サーバー同士で情報をやりとりすうようになるため、欠損率が少なくなり、広告効果がより正確に計測できるようになる
- ユーザーを特定しやすくなり、広告のターゲティング精度の向上が期待できる
- ターゲティング精度の向上により、より適切なユーザーに広告が配信されるようになるため、コンバージョン単価の低下が期待できる
このように、コンバージョンAPIの活用により、広告の計測におけるCookieへの依存度を減らしながら、ユーザーのプライバシーを保護しながら広告効果の最適化を目指すことができます。
コンバージョンAPIが注目されている背景
広告効果の計測において、Cookieを使用できなくなると、ブラウザからユーザーに関する情報を引き継げず、コンバージョンデータの欠損が起こります。
コンバージョンデータの欠損が起こると、機械学習を活用した最適化を目指すのが難しくなります。その結果、ターゲティング精度が低下し、広告配信が適切なターゲットに配信されにくくなり、コンバージョン単価が上昇する可能性があります。
このようにCookieの規制によってWeb広告は大きな影響を受けるため、その対策の一つであるコンバージョンAPIに注目が集まっています。
コンバージョンAPIの導入にはエンジニアの協力が必要
コンバージョンAPIの導入には、開発環境とエンジニアの協力が必要です。
自社のみでコンバージョンAPIの導入を目指す場合は、社内で開発者や技術チームなどを整える必要があります。
自社における開発リソースが不足している場合は、Web広告代理店などに依頼して導入するのも手段の一つです。
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事例
ここからは、XにおいてコンバージョンAPIを活用し、成果をあげた二つの事例を紹介します。
医薬品製造・EC販売関連企業における改善事例
一つ目は、医薬品製造およびEC販売を行うクライアントの事例を紹介します。
施策と結果
クライアントは、Cookie規制によるデータ欠損をコンバージョンAPIの機能によって補完できるかどうかの確認という課題を持っていました。
そこで、オプトが開発・提供する統合データ活用プラットフォーム「ONE's Data」を導入しました。「ONE's Data」は、XにおけるコンバージョンAPIの導入などを支援するツールです。本事例では、「ONE's Data」のタグを活用して、ハッシュ化された形でユーザーのメールアドレスを取得しました。
「ONE's Data」を導入したのちに、次の二つの場合の広告効果を比較しました。
- Xの従来のピクセル(※4)のみを検証した場合
- Xの新しいピクセルとコンバージョンAPIを併用して検証した場合
その結果、コンバージョン補完率(※5)を17%改善しました。
※4 ピクセル:Webサイトに実装してサイトアクションやコンバージョンを追跡するタグ。
※5 コンバージョン補完率:(Events API導入後の計測におけるコンバージョン数−これまでの計測におけるコンバージョン数)÷これまでの計測におけるコンバージョン数
エステ関連企業における改善事例
二つ目は、エステ関連の事業を提供する企業クライアントの事例を紹介します。
施策と結果
クライアントは、Cookie規制によるデータ欠損をコンバージョンAPIの機能によって補完できるかどうかの確認という課題を持っていました。
一つ目の事例と同様に、クライアントは、「ONE's Data」を導入し、タグを活用して、ハッシュ化(※6)された形でユーザーのメールアドレスを取得しました。
「ONE's Data」を導入したのちに、次の二つの場合の広告効果を比較しました。
- Xの従来のピクセルのみを検証した場合
- Xの新しいピクセルとコンバージョンAPIを併用して検証した場合
その結果、コンバージョン補完率を26%改善しました。
このように、コンバージョンAPの導入によりコンバージョンを補完できる可能性があります。
※6 ハッシュ化:データを不規則な文字列に変換すること
ONE's Dataを介してコンバージョンAPIを導入
二つの事例でも触れた通り、オプトでは、XにおけるコンバージョンAPIの導入を支援する「ONE's Data」という独自ツールを開発・提供しています。
ONE's Dataでは、コンバージョンAPIの導入のみならず、Web、アプリ、基幹システムなど、企業やプラットフォーマーが保持する各ツールに点在したデータを統合できます。
ONE's Dataを導入いただくと、次のようなメリットがあります。
- Web、アプリ、基幹システムをはじめとする異なるチャネルのデータを統合できる
- 複数のチャネルのデータを活用することでユーザーを特定しやすくなり、広告配信の精度を向上させることができる
- 複数のチャネルのデータを活用することで、ユーザーに対する解像度を上げることができる
- X以外のプラットフォーマーの仕様変更にも対応できる
要件設計から、データ送信後のモニタリングまで、専門チームがトータルで支援し、お客さまのKPI(重要業績評価指標)に合わせたレポートの作成も可能です。
まとめ
本記事では、XにおけるコンバージョンAPIについてお話しました。
広告効果の計測において、Cookieの情報が引き継がれなくなると、ブラウザからユーザーの情報を引き継げなくなり、広告媒体におけるユーザーの判別が難しくなります。そのような場合に、コンバージョンAPIを使用することで、広告効果の正確な計測、ターゲティング精度の向上、コンバージョン単価の低下が期待できます。
コンバージョンAPIを導入した二つの事例は、いずれもコンバージョン補完率が改善されています。
しかしコンバージョンAPIの導入には、開発環境とエンジニアの協力が必要です。今後、Xにおいて広告運用を本格的に活用していきたいと検討されているお客さまは、コンバージョンAPIの導入とあわせてオプトにご相談ください。
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