Meta(facebook・Instagram)広告運用の基本|配信対象の最適化
Meta広告は機械学習を採用しているため、機械学習が正しくスピーディに実行されるアカウント設計が必要です。Meta広告の運用にあたってはアルゴリズムを理解し「配信対象の最適化」「広告面の最適化」「広告の最適化」の三つを速やかに実施することが重要です。
広告効果の最大化を目指すための情報収集が完了すると、広告のステータスがアクティブに変更されます。広告がアクティブな状態は、最適な状態で広告が運用されている状況です。
Meta広告の運用について解説するシリーズ第二弾として、今回の記事では、最適化が必要な一つ目の項目「配信対象の最適化」について解説いたします。
シリーズ第一弾として、Meta広告のアルゴリズムとそれに応じたアカウント構成を解説した記事はこちらです。
シリーズ第三弾として、Meta広告の「配信面・広告の最適化」を解説した記事はこちらです。
オプトのメールマガジンでは、デジタルマーケティングに役立つ事例をはじめ、セミナー開催情報、お役立ち資料、最新メディア情報などをお届けします。
目次[非表示]
配信対象を最適化するために目指すべきライン
配信対象の最適化を目指すために、まずは、Metaピクセルを設定しましょう。Metaピクセルは、Webサイトに設置するコードであり、コンバージョン数の確認や配信ターゲットの設定に活用します。
MetaピクセルをWebサイトの各ページに設置すると、機械学習に活用できるデータが蓄積されます。最終コンバージョン地点以外にも、マイクロコンバージョン(最終コンバージョンに至るまでの中間地点として設置するコンバージョン)を設定する箇所をはじめとして、可能な限り全ページへの設置をおすすめします。
また、Meta社は、ビジネスに重点を置いたAPI(Application Programming Interface:複数のアプリケーションをつなぐ仕組み)を一つのSDK(Software Development Kit:アプリケーションの開発に必要なツールなどをパッケージ化したもの)として提供しています。
これは「Meta Business SDK」と呼ばれています。Meta Business SDKを活用することにより、アプリをインストールしたユーザーの属性などを読み取り、機械学習に反映できるようになります。そのため、モバイルアプリを使ったサービスを運営している企業には、Meta Business SDKの設定もおすすめしています。
Meta広告の機械学習における情報収集期間を完了するためには、次の図の通り累計50コンバージョンを達成する必要があります。
そのため、まずは累計50コンバージョンを目指しましょう。
情報収集期間
情報収集している間は、Meta広告のパフォーマンスは安定しません。Meta社は、情報収集期間を完了するためには、一つの広告セットにおいて七日間で50件以上の最適化のためのイベントを獲得することによりパフォーマンスが安定すると説明しています。
Meta広告のパフォーマンスを早期に安定させるためにも、情報収集期間を再びスタートさせない運用が重要といわれています。情報収集期間がスタートする可能性のある運用調整内容としては以下の四点が挙げられます。
- 入札戦略の変更
- 広告セットの予算金額変更
- 入札コントロール・コストコントロール・ROASコントロールの金額変更
- キャンペーンの予算金額変更
また、金額に関連する変更以外でも、次のような変更があると情報収集期間がスタートしてしまいます。
- 広告配信のターゲットを変更
- 広告クリエイティブの変更
- 最適化イベントを変更
- 広告セットに新しい広告を追加
- 広告セットを七日間以上停止
完了させた情報収集期間が再びスタートしないように、上述の変更には注意してください。
機械学習データの質を上げるアドバンスドマッチング
Meta広告では、アドバンスドマッチングという機能で、機械学習データの質を上げることが可能です。
この設定をしていない場合、ピクセルのCookieをもとにコンバージョンや配信対象のオーディエンスを特定していますが、アドバンスドマッチングを設定しているとメールアドレスや姓名、生年月日、性別などの情報をもとに特定が可能です。これにより、直近のCookie規制の影響を軽減し、コンバージョン数の欠損などを防ぐことが可能です。
実際に、オプトで支援した例では、アドバンスドマッチング機能を利用し、コンバージョンユーザーの属性判定精度が向上し、次の効果が確認できました。
- コンバージョン数:10%増加
- コンバージョン単価:12%低下
- リターゲティングリーチ:20%増加
このようにアドバンスドマッチング機能を使用して機械学習データの質を上げることで、施策の成果にポジティブな影響を与えられる可能性があります。
機械学習データの質を上げる「SDK for Website CVs」「Pixel for App」の重要性
Webとモバイルアプリの両方のサービスを持っている企業も多いかと思います。その中で広告を配信しているのがWebサービスのみという場合も珍しくありません。
例えば、そういった状況のお客様でも、Meta広告の最適化機能の精度を高めるためには、モバイルアプリのデータをMeta広告で活用することが重要だといわれています。
モバイルアプリのデータをMeta広告に入れるためには、次の二つの設定をおすすめします。
- SDK for Website CVs
- Pixel for App
これらを設定することで、機械学習に活用できるデータ量が増加し、データの精度が高まります。その結果、広告施策の成果向上が期待できます。
オプトで支援した事例では、「Pixel for App」を活用して、コンバージョン単価低下、コンバージョン増加、コンバージョン率上昇の効果が確認できました。
理想アカウント構造と広告最適化効果を最大化させる必要コンバージョン数
広告アカウントを効率よく運用するためには、情報収集が完了した状態をなるべく長く維持することが大切です。情報収集期間中に修正や変更を加えると、情報収集期間が長くなり、広告パフォーマンスが落ちる傾向があります。
情報収集期間を速やかに完了するためには、アカウントの設計やターゲット設定の見直し、クリエイティブの改善などを行う必要があります。ただし、アカウントやターゲット設定を変更すると情報収集期間が長くなる点に注意が必要です。
ここからは、情報収集期間を早く終了する方法として、広告予算設定の観点から三つのポイントを紹介します。
- 広告予算を多めに獲得しておく
- キャンペーン予算の最適化機能を使用する
- 最小単価の入札戦略を使用する
予算が少ないと、情報収集期間が長くなるだけでなく情報が不十分になる可能性があります。情報収集期間を早く完了させるために、一つの広告セットで一週間でコンバージョンを50件以上獲得できるだけの予算をあらかじめ用意しておきましょう。広告セット毎に予算を設定するのではなく、キャンペーンごとに予算を設定するのも一つの方法です。
広告を始めたばかりでコンバージョン数が少ない場合は、マイクロコンバージョンのデータも追加して50件のコンバージョンを目指します。
推奨ターゲティングと除外設定
Meta広告は、詳細なユーザー情報を取得しているため、手動で詳細なターゲティングを設定できます。また、ビジネスターゲットではないオーディエンスを除外したうえで、Meta広告の機械学習にターゲティングを任せる方法もあります。
ブロード配信で配信対象を制限しないが推奨
Meta広告のターゲティング設定では、ブロード配信で配信対象を制限しないことを推奨します。ここでのブロードの定義は、ターゲットではない人以外の全ての方を配信対象にすることです。
例えば、女性用コスメのお客さまにおいて、男性の除外は必要ですが、興味関心で「美容興味」に絞るのは不要というような認識を持っていただくとわかりやすいかと思います。
親和性の低いユーザーへ配信しないことが重要
Meta広告のターゲティングと除外設定で重要なのは、見込みのないユーザーに広告を配信しないことです。つまり、親和性の低いユーザーへ配信しない設定を行い、最適化対象を不必要に減らさないことを推奨します。例えば、解約率の高いユーザーデータの類似オーディエンスを作成し除外することは避けた方が良いと考えています。
オークションを避けるためにターゲティング重複をなくす
Meta広告では、ターゲットを精緻に設定することでターゲットの重複を回避できます。しかし、複数の広告セットを運用している場合、ターゲットの重複が発生している可能性も高く、それが許容されていることがあります。
この場合、オークション競合の状態となり、CPM(Cost Per Milleの略 インプレッション1,000回あたりの費用)単価上昇のリスクがあります。そのため、重複を避けたアカウント設計に修正しましょう。
まとめ
本記事では、Meta広告出稿の際に重要な配信対象の最適化について説明しました。Meta広告では、AIを活用してターゲットを学習する期間を情報収集期間と呼んでいます。
Meta広告の成果を高めるためには、アルゴリズムを理解し、情報収集期間をいかに早く完了させられるかが鍵となります。配信対象の最適化を実行し、Meta広告のアルゴリズムが学習しやすいアカウント設計を行いましょう。
本記事で紹介した「配信対象の最適化」と並んで重要な「配信面の最適化」と「広告の最適化」について詳細に解説している記事はこちらです。
オプトのメールマガジンでは、デジタルマーケティングに役立つ事例をはじめ、セミナー開催情報、お役立ち資料、最新メディア情報などをお届けします。