事例に学ぶ!アパレル業界の新しいマーケティング手法「OMO」とは
「OMO」はオンラインとオフラインを融合させて、顧客体験を向上を目的としたマーケティング手法です。顧客体験向上につながる考え方として注目を集めており、特にアパレル業界での活用が期待されています。
この記事では、アパレル業界におけるOMO導入のメリットや具体的な施策例を説明し、実際にOMO施策に取り組んでいるアパレル企業の事例についても紹介します。
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目次[非表示]
- 1.アパレル業界で注目されるマーケティング手法OMO
- 2.なぜアパレル業界でOMOが重要視されているのか
- 3.アパレル業界におけるOMO導入のメリット
- 4.アパレル業界におけるOMO施策
- 4.1.広告に店舗在庫を表示
- 4.2.デジタルサイネージの活用
- 4.3.オンライン注文品の店頭受取
- 4.4.オンライン試着
- 4.5.ポイントやクーポンの活用
- 4.6.ライブコマース
- 5.【事例紹介】OMOを実践するアパレル企業4選
- 5.1.事例1.アダストリア
- 5.2.事例2.ZOZO
- 5.3.事例3.オンワード樫山
- 5.4.事例4.ユニクロ
- 6.まとめ
アパレル業界で注目されるマーケティング手法OMO
OMOとは「Online Merges with Offline」の略称で、オンラインとオフラインの垣根をなくした新しい形のサービス提供によって顧客体験を向上目的とするマーケティング手法です。
近年、アパレルや飲食、小売など様々な業界でOMOが導入されるようになりました。特にアパレル業界において、盛んに取り組まれており、オンラインとオフラインを融合したサービス提供を行う「OMO型店舗」も増えています。具体的なサービスとしては、店頭での試着をECサイトから予約できたり、店頭での決済をオンラインで行えたりします。
つまり、OMOはオンラインとオフラインそれぞれの強みを組み合わせて、顧客の購買体験向上を図る、新しい形のマーケティング手法といえます。
なぜアパレル業界でOMOが重要視されているのか
先述の通りOMOはアパレル業界において特に注目されているマーケティング手法ですが、その背景には何があるのでしょうか。ここでは、なぜアパレル業界でOMOが重要視されているのかについて紹介します。
多様化した顧客ニーズに応えるため
アパレル業界では、トレンドや顧客ニーズに応じたサービス展開が欠かせませんが、情報やモノが溢れる現代において、トレンドや顧客ニーズは目まぐるしいスピードで変化しています。そのため、これまでのような大衆向けのマーケティング手法では成果が見込めない場合もあり、顧客一人ひとりに応じたアプローチが必要となっています。
オンラインとオフラインどちらのサービスからも顧客データを収集して分析することで、顧客の個人的なニーズをより正確に掴めるようになります。また、アプローチ方法としてもオンラインとオフラインを組み合わせることで、幅広いサービス展開が可能です。多様化した顧客ニーズに応えるために、OMOは有効な手段と考えられます。
顧客の購買プロセスが変化したため
スマートフォンをはじめとしたテクノロジーの発展により、顧客の購買プロセスにも変化がありました。例えば、顧客は商品購入の前に、SNSで口コミなどを検索し、商品に対する情報収集を行うようになりました。また、ECサイトで商品を選び、店舗で試着する場合もあります。
このように、テクノロジーの発展により顧客の購買行動におけるオンラインとオフラインの垣根が薄くなっています。そのため、OMOに注目が集まっています。
ブランドへの愛着が顧客生涯価値(LTV)向上につながるため
競合他社が多く「レッドオーシャン」とも呼ばれるほどのアパレル業界では、既存顧客のつながりや新規顧客へのアプローチには相当の労力が必要となります。
このような業界において、オンラインとオフラインの垣根を超えた多彩なサービス展開や広く収集した顧客データに基づく効果的な施策展開をすることで、顧客満足度を高め、自社ブランドのファンの拡大につながります。ブランドへの信頼感や愛着は顧客生涯価値(LTV)の向上にもつながります。
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アパレル業界におけるOMO導入のメリット
アパレル企業がOMOを導入することで、次のようなメリットが期待できます。
- より良い顧客体験の提供が可能になる
- 販売の機会損失を回避できる
- 分析に活用できるデータが増加する
また、OMOはそもそも「顧客体験の向上」を目的としたマーケティング手法ですので、もちろん顧客にとってのメリットも豊富です。例えば店舗に在庫がなかった商品をオンラインで注文できたり、店舗の商品をオンライン上で試着できたりといったサービスにより、これまで以上にストレスなく楽しめると考えられます。
アパレル業界におけるOMO施策
ここまでアパレル業界におけるOMOの重要性や有効性について紹介してきました。ここからは実際にOMOに取り組む際の参考になるよう、具体的な施策例を6つ紹介します。
広告に店舗在庫を表示
Googleのローカル在庫広告は、ユーザーの位置情報を活用し、店舗周辺で検索を行ったユーザーに対して、店舗の商品の在庫情報などを表示して、来店につなげる広告です。
ユーザーは、関心のある商品の在庫の有無を把握したうえで店舗を訪問できます。大掛かりな開発などをせずに、取り組むことができるOMO施策です。
デジタルサイネージの活用
電子看板とも呼ばれるデジタルサイネージは、ディスプレイやプロジェクターなどを用いて情報発信する施策ですが、ただ単に広告を表示するのではありません。モニターの前に立った顧客に合わせて最適な情報を表示したり、自動応答システム「チャットボット」と組み合わせて、顧客が操作できるようにしたりといった便利な機能をもっています。
その結果、スタッフによる接客が苦手という顧客でも、有益な情報を得ることが可能です。
オンライン注文品の店頭受取
通常ECサイトなどのオンラインサービスで注文した商品は、基本的に自宅に配送されます。しかし、配送日時に在宅しておらず受け取れなかった場合は再配達が必要になります。そのような手間を省けるのが「店頭受け取り」サービスです。勤務先や外出先近くの店舗などで商品を直接受け取ることができます。
顧客が自身のスケジュールに合わせて快適にショッピングできるための施策です。
オンライン試着
通常、ECサイトで気になる商品を見付けて試着してみたいとなった場合は、実店舗に出向かないといけません。しかしオンライン試着サービスによって、ECサイト上で体型や普段着用している服のサイズを登録するだけで、3Dの着用イメージの確認が可能になります。
実店舗に出向くことなく自分の体型に合った服を探せることは、ECサイトでの購入を主流としている顧客にとって非常に便利なサービスです。
ポイントやクーポンの活用
ECサイトと実店舗どちらでも使用できる共通ポイントや、店頭で使える割引クーポンがECサイト上に届くといったサービスで、これによりオンラインとオフラインそれぞれのサービスの活用が促進されます。
顧客にとっても、利用シーンに合わせてオンラインとオフラインを使い分けながらポイントやクーポンといったメリットも享受でき、シームレスな購買体験が可能です。
ライブコマース
ライブコマースでは、店舗スタッフがSNSなどでライブ配信を行い、視聴者とコミュニケーションをとりながら商品紹介を行います。PR動画や広告と違ってリアルタイムで顧客の反応を見たり、質問に返答したりできる点が強みです。
店舗に出向かなくても、商品に関する質問や相談をスタッフに直接できることから、顧客に人気のサービスの1つといえます。
【事例紹介】OMOを実践するアパレル企業4選
これまで紹介してきた通り、OMOはアパレル業界において重要なマーケティング手法といえます。実際にOMOを導入し成果を上げているアパレル企業もあります。ここでは代表的な成功事例を4つ紹介します。
事例1.アダストリア
株式会社アダストリアは2021年からECサイトと連動したOMO型店舗「ドットエスティストア」を展開しています。店内に多数設置されたデジタルサイネージに、商品バーコードをかざすと、商品の詳細情報やスタッフのスタイリングを確認できたり、スタイリングで使用されているほかのアイテム情報の検索もできる便利な機能が満載です。
また、ECサイトと連動した人気商品ランキングのコーナーもあり、トレンドを一目で把握できる店舗づくりもされています。このような優れた購買体験を得られる「ドットエスティストア」は、顧客の評価や需要も高く、2024年現在では全国に13店舗展開されているほどです。
事例2.ZOZO
株式会社ZOZOではECサイトと実店舗を連携させたプラットフォーム「ZOZOMO」が2021年より展開されています。店舗の在庫確認や取り置きができるサービスにより、顧客はECサイト上でほしい商品が売り切れている場合でも、実店舗での購入が可能です。
また、スタッフが使用しているツール「FAANS」では、ECサイトから取り置き依頼があった際に、スムーズに店頭スタッフが対応できる機能が備わっています。このようなサービスや店舗体制を通して、顧客にシームレスな購買体験を提供できている代表例です。
事例3.オンワード樫山
株式会社オンワード樫山では、2021年から店舗とECサイトの良さを組み合わせたOMO型店舗「ONWARD CROSSET STORE」が展開されています。ECサイトで気に入った商品を店頭で試着できたり、店舗スタッフを指定してスタイリングのアドバイスを受けられたりする点が特徴の1つです。
また、3DCADの技術を活用したオンライン試着サービスも人気で、顧客は店舗に出向かなくてもリアルな着用イメージを確認でき、様々な顧客のニーズに応えています。
事例4.ユニクロ
株式会社ユニクロでは、実店舗の商品をECサイトから事前注文し、店舗で専用のバーコードを提示するだけでスムーズに受け取れる「ORDER&PICK」が展開されています。
最短1時間後には店舗受け取りが可能なため、急ぎで購入したいときにも非常に便利なサービスです。配送商品の受け取りのために在宅する必要もなく、顧客に快適な購買体験を提供できている成功例といえます。
まとめ
オンラインとオフラインを融合させたサービス提供により顧客体験の向上を目的としたマーケティング手法「OMO」は、アパレル業界でも注目が集まっています。
しかし、これからOMOを導入しようとする企業においては「具体的にどのような施策を取り入れたら良いのか?」「既存リソースを活かしたサービス展開をしたいがイメージが湧かない」といった悩みを抱える場合もあるかもしれません。
オプトでは、企業の業態(製造販売一体型かモール型か)や既存リソース、抱えている課題などに応じた施策提案を行っております。OMOに関心を持っている方は、ぜひ一度お問い合わせください。
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