【自社事例】OMOとは|O2Oとの違い・具体的な8つの施策例も紹介
スマートフォンが普及し、オンラインとオフラインの境界線が薄れているなかで、注目が集まるマーケティング手法が「OMO」です。
今回の記事では、OMOの基本的な考え方と、似たような意味で比較されやすいO2Oやオムニチャネルとの違いについて紹介します。また、OMOの具体的な8つの施策例も紹介します。
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目次[非表示]
- 1.OMOとは
- 2.OMO、オムニチャネル、O2Oの違い
- 2.1.OMOとオムニチャネルの違い
- 2.2.OMOとO2Oの違い
- 3.OMOにより解決が期待できる企業課題
- 4.OMOを活用した8つ具体例
- 4.1.店舗在庫情報がわかる広告
- 4.2.モバイルオーダーと店頭受取り
- 4.3.近隣実店舗の商品を自宅に配送
- 4.4.実店舗とECサイトで共通利用できるポイントやクーポン
- 4.5.スマートフォンアプリでの購買機能
- 4.6.オンラインとオフラインの顧客データの統合による提供サービスの高度化
- 4.7.実店舗内でのチャットボット
- 4.8.実店舗でのサイネージ
- 5.OMO施策の成功事例(損害保険ジャパン日本興亜株式会社)
- 5.1.顧客の課題
- 5.2.実施したOMO施策
- 5.3.OMOを実施した結果
- 6.まとめ
OMOとは
近年、一人一台と言われる程にスマートフォンが普及し、オンラインとオフラインの境界線が薄れているなかで、OMOとよばれるマーケティング手法が注目されています。
ここでは、OMOの概要や具体例、また求められている背景について紹介します。
OMOとは、オンラインとオフラインを融合させたマーケティング手法
OMOとは「Online Merges with Offline」の略語で、オンラインとオフラインの融合を意味しています。具体的には、ECサイトなどのオンラインと実店舗などのオフラインの隔たりを無くすマーケティング手法を指します。
OMOの具体例としては、オンライン注文でのデリバリーサービスやモバイルオーダーを用いた店舗サービスなどが挙げられます。
デジタル化の波は、コロナ禍に、より加速されました。さまざまなものがオンラインでやり取りされる時代において、OMOは今後ますます重要になると考えられます。
OMOが求められている背景|購買行動と市場の変化
スマートフォンの普及により、消費者の購買行動と市場が変化しました。それぞれの変化によってOMOが求められるようになった理由は次のとおりです。
購買行動の変化
スマートフォンの普及により、顧客の購買行動がオンラインとオフラインを併用するものへと変化しています。SNSで商品を知り、店舗で商品を体験して、ECで購入する、という行動もそのひとつです。それにより、企業側にもオンラインとオフラインを区別せず、それらを融合させた施策が求められるようになってきました。
市場の変化
OMOが小売業界で注目されてきたのは、市場の変化が背景にあります。スマートフォンが普及し、ネット販売市場が拡大したことで、商品によっては購買活動がオンラインへシフトしている傾向も見受けられます。。(※1)また、キャッシュレス決済が普及し、支払いもオンラインで行われるようになっています。(※2)
※1参照元:株式会社電通デジタル「ECと店頭を横断した生活者の購買行動を調査」(https://www.dentsudigital.co.jp/news/release/services/2022-1221-000065)
※2参照元:経済産業省「2023年のキャッシュレス決済比率を算出しました」(https://www.meti.go.jp/press/2023/03/20240329006/20240329006.html)
また、購入時の決済をオンライン経由にしたことで、企業側も顧客行動のデータ収集や分析が可能となりました。
OMO、オムニチャネル、O2Oの違い
OMOと似たマーケティング手法に、オムニチャネルやO2Oなどオンラインとオフラインの境界を越えたマーケティング施策があります。しかし、それぞれ施策を実施する際の目的や”顧客と企業どちらの”視点での施策なのかが異なり、役割が違います。。ここでは、OMOと比較しながらそれぞれの特徴と違いについて紹介します。
OMOとオムニチャネルの違い
OMOとオムニチャネルは、ともにオンラインとオフラインを分けず、顧客を結びつける点では似ています。しかし、施策の目的や顧客視点か企業視点かの違いがあります。
オムニチャネルは、企業側の売上の最大化を目的とするのに対し、OMOは顧客満足度の向上を目的としたマーケティング手法です。
オムニチャネルは、商品が購入できる場所を増やす企業側の視点が強く、購入につなげることを目的として、さまざまなチャネルを活用するマーケティング手法です。
一方、OMOは、あくまで顧客側の視点でのマーケティング手法であり、商品認知から商品選定、商品購入、アフターフォローに至る顧客体験の最大化を目指すことが目的となります。
このように”視点”と”目的”という2点において違いがあります。
OMOとO2Oの違い
OMOとO2Oは、どちらもオンラインとオフラインを活用したマーケティング手法ですが、オンラインとオフラインの活用の仕方に大きな違いがあります。
O2Oは「Online to Offline」の略語で、オンラインとオフラインを明確に区分し、オンラインを活用した施策により、オフラインである実店舗への来店を促す手法です。
具体例としては、スマートフォンの通知機能を活用した近隣店舗の情報配信や、実店舗で使用できるオンラインクーポンの提供があります。このような施策は、実店舗での購入を促すことが目的です。
一方OMOは、オンラインとオフラインを明確に区別しません。OMOはオンラインとオフラインを融合させ、顧客にとって最適なチャネルを活用し、顧客の満足度を向上させることが目的です。そのため、購入する場所はオンラインでもオフラインでも問いません。
O2Oは、オンラインは実店舗へ誘導する手段でしかなく、オフラインでの購入がメインとなります。一方OMOは、オンラインでもオフラインでも、顧客が求める方法で購入することができることを重視しています。
このように、OMOとO2Oは、オンラインとオフラインの活用の仕方が異なります。O2Oがオフラインへの誘導を目的にオンラインを活用するのに対し、OMOはオンラインとオフラインの統合により、顧客の満足度を向上させることを目指す点で、大きな違いがあります。
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OMOにより解決が期待できる企業課題
OMOの実施により、企業は以下のような課題の解決が期待できます。
顧客の利便性向上
オンラインとオフラインを融合した購買体験を提供することで、顧客の手間を省いたり不便だった部分の解消に繋げ、利便性の向上が見込めます。例えば、オンライン上で在庫を確認し店舗で商品の受け取りができたり、店舗で商品の実物を見てから自宅でネット注文できたりと、購買体験の幅が広がります。
新規顧客へのアプローチ
店舗情報をオンラインで閲覧できるようにすることは一般的ですが、Webサイトにはじめて訪問したユーザーや過去に訪問して一定期間訪問がなかったユーザーなどを判別して、そのページの情報の一部を出し分ける、といったWebサイト構造にすることも顧客起点と言えます。
サービス内容の一貫性
オンラインとオフラインを問わず一貫性のある顧客体験の提供を目指すOMOは、オンラインでも実店舗と遜色のないようなサービスを提供しています。例えば、アパレル業界では、商品サイズ毎の詳細な寸法表示、ユーザーの口コミ掲載、スタッフ試着の写真、レビュー掲載などをWebサイトの商品詳細ページに記載しています。これらの情報により、サイズが合わないなどの不安解消や返品率低下にも繋がり、購入モチベーションを高めることができるからです。
OMOを活用した8つ具体例
ここでは、OMOを活用した8つの具体例を紹介します。
店舗在庫情報がわかる広告
一般的なバナー広告では店舗在庫の情報は掲載されておりませんが、Googleのローカル在庫広告は、位置情報を活用し、店舗周辺で検索を行ったユーザーに対して、店舗の商品の在庫情報などが表示される機能を持った広告です。
ユーザーは、関心のある商品の在庫の有無を店舗に訪れる前に把握できます。
モバイルオーダーと店頭受取り
モバイルオーダーは、スマートフォンを使用し商品を注文するサービスです。店舗に行く前に注文を済ませておけば、待ち時間を短縮できるほか、店頭では商品の受け取りだけで購入が完了します。企業側としては、オンライン購入時の顧客データを収集し、様々なマーケティングへの活用が期待できます。
ほかにも店舗に設置されたタブレットから商品の注文ができる、テーブルサービスというサービスもあります。
これらのサービスは、顧客の利便性も高く、顧客データのマーケティングへの活用も可能な施策として、今後ますます普及していくと考えられます。
近隣実店舗の商品を自宅に配送
自宅配送は、近隣実店舗の商品をオンラインで注文し、自宅に配送するサービスです。自宅で気軽に買い物ができ、配送時間が短いのが利点です。昨今、物流の効率化が求められていますが、近隣の実店舗であれば、企業にとってもユーザーにとっても配送費用の削減が期待できます。
実店舗とECサイトで共通利用できるポイントやクーポン
OMO施策の1つに、実店舗とECサイトで共通して利用できるポイントやクーポンの導入があります。
具体例として、スマートフォンアプリのバーコードを店頭での決済時にスキャンすることで、アプリ内にポイントを貯めることができるものなどです。。
このような取り組みにより、**顧客はオンラインとオフラインの両方で同じポイントを活用することができ、顧客満足度と利便性の向上が期待できます。また、企業側もリピーターの増加や、一元管理が可能な顧客の購買データを活用することで、効果的なマーケティング施策の立案が可能です。
共通利用できるクーポンの導入で、顧客満足度の向上やリピーターの増加など、企業側も多くのメリットを得ることができるでしょう。
スマートフォンアプリでの購買機能
スマートフォンアプリでの購買機能の拡充は、オンラインとオフラインを統合し、顧客体験を向上する施策の一つです。
モバイルペイメントは、モバイルアプリを通じて決済を行うサービスです。アプリ内で購入履歴の表示やレジの無人化など、利便性も高まります。
オフラインを含めた購入履歴の表示は、顧客が過去の購入データを振り返ることができるので、次の購入計画を立てやすくなります。また、再度購入したい商品がある場合、ECサイトで簡単に購入できるようになります。さらに、スマートフォンアプリにクレジットカードや決済サービスを一度登録すると、アプリからそれらの決済を活用できるようになります。決済の度にログインする手間がなくなるため、購買体験が向上します。
注文から決済まで完結できる機能は、顧客が買い物する一連の過程におけるストレスを減らします。これにより、購入する確率は向上し、顧客満足度も高まります。
以上のように、スマートフォンアプリでの購買機能を拡充させることで、顧客はより快適な買い物を楽しむことができ、企業においても競合他社との競争力の強化が可能となります。
オンラインとオフラインの顧客データの統合による提供サービスの高度化
オンラインとオフラインそれぞれの顧客データを統合することで、顧客がどのような商品やサービスに興味があるのか、をより深く考察することが可能になります。これにより、顧客の好みや購買パターンが把握できるため、一人ひとりに合った体験の提供が可能です。
顧客のオンラインでの購買活動や実店舗での行動を追跡し、その情報を統合することで、より緻密なマーケティング施策の展開が期待できます。例えば、特定の商品カテゴリに関心を持つ顧客に対して、関連するオンライン広告を配信したり、近隣店舗のお得情報を通知したりすることが可能です。
その結果、顧客の購買活動が増え、企業の売上や顧客満足度を向上させることができます。また、個別にパーソナライズされたサービスを提供することで、リピート率の向上にも繋がってきます。
実店舗内でのチャットボット
実店舗内での顧客対応を向上させる新たな手法として、チャットボットの活用が注目されています。
チャットボットは、顧客が店舗内で商品やサービスに疑問を持った際、AIが対応するシステムのことです。具体的には、店舗に入店した顧客がスマートフォンからチャットボットを活用し、まるで店舗スタッフに接客してもらうような体験を得ることができます。
また、チャットボットを活用し、在庫の状況やレビューを確認することができ、販売を促進することも可能です。このように、顧客サービスや満足度を向上させることも期待されています。
実店舗でのサイネージ
サイネージとは、店舗内に設置されたデジタルディスプレイのことを指します。顧客が店舗内に設置されたサイネージの前に立つと、顧客の性別や年齢層にあった商品が表示され、購買意欲の向上に繋げることができます。
OMO施策の成功事例(損害保険ジャパン日本興亜株式会社)
ここでは、損害保険ジャパン日本興亜株式会社(以下「損保ジャパン日本興亜」)が、LINE公式アカウントを活用したOMO施策(※1)を紹介します。
※1 オプト「損保ジャパン日本興亜の「LINEによる保険金請求サービス」への自動応答機能(チャットボット)のサービス開発を支援
」
顧客の課題
損保ジャパン日本興亜は、自動車保険や火災・地震保険をはじめ、人々の生活に身近な保険商品を取り扱う損害保険会社です。
同社は、従来の保険金請求手続きに2週間から3週間かかるという課題を抱えていました。これらの手続きは、事故に遭ったお客さまからの連絡を起点として開始されますが、郵送による書類送付などに時間がかかっていました。
実施したOMO施策
そこで同社は、次の3点に着目し、LINE公式アカウントを用いて保険金請求手続きができる環境を構築しました。
- コミュニケーションのレスポンスの早さ
- ユーザー数が多さ
- 友だち追加のみで手軽に利用できる
本サービスでは、LINE公式アカウントのトーク画面から、同社がオプトとともに開発した独自のチャットシステムに遷移したうえで、ユーザーとコミュニケーションを取ります。
OMOを実施した結果
本サービスにおいてお客さまは、チャットボットの質問に返信するたけで、簡単に保険金をご請求することができるようになりました。
また、従来の有人対応では、損保ジャパン日本興亜の営業時間により、保険金請求の手続きを待たなければなりませんでした。
本サービスでは、24時間365日(※1)、最短30分(※2)で、保険金請求の手続きを進めることができ、ユーザーの都合にあわせた迅速な保険金の支払いを実現しています。
(※1)自動車保険の場合
(※2)事故の内容により異なります
まとめ
OMOは、顧客体験の最大化を目的としたオンラインとオフラインの隔たりを無くしたマーケティング手法を指します。
現代は、顧客が自分の置かれた状況(時間的・物理的)に応じてオンライン、オフラインに関係なく、最適な接点(販売経路)を選択する時代へと変化してきています。そのなかで、企業側には顧客体験の向上を目指したサービスの提供が求められます。
オプトでは、OMOの施策で得た顧客データの分析結果を用いて、顧客体験の設計からマーケティング活用までをワンストップで支援することができます。OMO施策に関してお悩みや相談がある場合は、ぜひお問い合わせください。
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