【事例あり】Google P-MAX|検索テーマによる機械学習促進
Google広告のP-MAXキャンペーンは、「Performance Max キャンペーン」の略であり、広告運用のパフォーマンスの最大化を目指すことを目的とするメニューです。
Google広告の従来のキャンペーンと比較すると、入札額やターゲティング設定、配信クリエイティブなどが自動化されている点が特徴です。また、1つの広告キャンペーンで、Google広告のあらゆる配信面に広告を掲載できます。複数の配信面で取得したデータを活用して、広告運用のパフォーマンスの最大化を目指すため、コンバージョンに至るユーザーを増やすことにつながりやすい点も、特徴の1つです。
一方で、P-MAXキャンペーンは機械学習に一定の期間が必要であり、広告効果の最大化につなげるまで時間を要します。
本記事では、Google広告のP-MAXキャンペーンにおける機械学習を、一次学習と二次学習の2つのフェーズに分けて紹介します。また、そのうちの1つである一次学習をより適切な学びとさせるために、「検索テーマ」という機能を用いた手法をお話しします。
P-MAXキャンペーンで検索テーマを活用することで、広告効果の向上が期待できます。記事では、「CV数177%、CVR140%、CPA68%」に成功した事例を紹介しています。
P-MAXキャンペーンの詳細は、こちらの記事にもまとめています。
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目次[非表示]
- 1.P-MAXキャンペーンとは
- 1.1.メリット
- 2.P-MAXキャンペーンの効果最大化を目指す2つのフェーズ
- 3.「検索テーマ」機能
- 3.1.機能の概要
- 3.2.メリット
- 3.3.検索テーマ機能で効果が期待できるケース
- 4.検索テーマ機能の活用事例
- 5.まとめ
P-MAXキャンペーンとは
Google広告のP-MAXキャンペーンは、広告運用のパフォーマンスの最大化を目的としたキャンペーンであり、Google広告の従来のキャンペーンと次のような違いがあります。
このように、P-MAXキャンペーンは、1つの広告キャンペーンで、Google広告の全ての配信面に広告を掲載できます。他のキーワードベースの検索やバナー広告によるディスプレイのキャンペーンと補完関係にあり、購入や申込みなどの行動を検討しているユーザーに対して親和性が高く、幅広くアプローチできると考えられます。
メリット
P-MAXキャンペーンは、1つの広告キャンペーンで、Google Chromeの検索画面、YouTube、Googleショッピング、Google Discover、Gmail、Googleマップなどに広告を掲載できます。
AIを用いた機械学習により、Google広告の従来のキャンペーンではアプローチできなかったユーザーに、広告を配信できる可能性があります。
また、P-MAXキャンペーンでは、複数の配信面のデータを活用して、予算配分からクリエイティブまで設定が最適化されるため、単一の配信面で広告を配信する場合と比較して、コンバージョンなどの成果につながりやすいと考えられます。
P-MAXキャンペーンの具体的な配信方法や事例は、こちらの記事で説明しています。
P-MAXキャンペーンの効果最大化を目指す2つのフェーズ
P-MAXキャンペーンは機械学習に一定の期間が必要であり、効果の最大化につながるまで時間を要します。
P-MAXキャンペーンの効果最大化を目指すためには、次のサンプル図のように、運用を一次学習と二次学習の2つのフェーズに分けて考えることをおすすめしています。運用開始か ら二週間が経過するまでを一次学習として、運用開始から二週間経過以降を二次学習とします。
フェーズ1:1つ目のフェーズでは、一次学習の早期完了を目指します。一次学習は、より適切な情報のインプットを目的として行われます。より適切な情報のインプットができると、一次学習を早期に完了させることもできます。一方で、コンバージョンの母数が、推奨数を下回るような場合には、一次学習の完了が長期化する場合もあります。
フェーズ2:2つ目のフェーズでは、一次学習をもとに、さらにより適切な情報のインプットを目的として、広告の有効性を元にしたPDCAを行います。PDCAでは、例えば、管理画面の広告の有効性のインジケーターを確認しながら、次のようなアセットを一カ月に一回変更します。
- アセットの評価「低」
- アセットの評価「調整中」かつ 表示回数が5,000回以下
また、コンバージョンをはじめとするシグナルの定期的なインポートをはじめとする計画的なアプローチも実施します。
このように、P-MAXキャンペーンの効果最大化を目指すためには、運用を一次学習と二次学習の2つのフェーズに分けて考えることをおすすめしています。
次の章では、一次学習を早期に完了させるための事前準備として、Google広告における「検索テーマ」という機能を用いた手法を説明します。
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「検索テーマ」機能
一次学習を早期に完了させるため、AI が短期間では学習できない、広告主のビジネスや顧客に関する知識を、Google AIにさらに共有する機能として、2023年10月26日に、「検索テーマ」機能(ベータ)がリリースされました。
機能の概要
P-MAXキャンペーンでは現在、「アセット」「フィード」「ランディングページ」という要素に基づいて、キャンペーンで高い成果を得るための、検索語句を予測しています。
つまり、これらの3つの要素から導き出すことができない検索語句を、キャンペーンに反映するのが困難でした。3つの要素から予想できない検索語句を、手動で補うために活用できるのが「検索テーマ」機能です。検索テーマ機能を使用することで、P-MAXキャンペーンに、任意のキーワードを25個まで設定できます。
メリット
検索テーマ機能には、次の2つのメリットがあります。
- 手動で検索語句を補うことができるため、P-MAXキャンペーンの効果向上が期待できる
- 事前に検索テーマを設定し、一次学習の早期完了を目指せる
このように、検索テーマ機能は、一次学習の早期完了にも活用できます。
検索テーマ機能で効果が期待できるケース
検索テーマ機能を使用すると、次のようなケースで高い効果が期待できます(※1)。
“
- 提供している商品やサービスに関する詳細な情報や最新情報がランディング ページに記載されていない
- 新規市場に参入したばかり、あるいは新しい商品やサービスをリリースしたばかりで、キャンペーンの過去の掲載結果のデータが十分に利用できない
- 年末商戦期に向けて新しいプロモーションやセールを展開する予定だが、利用できる過去の掲載結果のデータがあまりない
- P-MAXでのリーチ(P-MAX における検索広告枠を含む)を拡大し、重要なビジネステーマを包括的に網羅したい
- キャンペーンをすばやく軌道に乗せ、パフォーマンスを短期間で最適化するのに役立つ重要な情報を提供したい”
引用:Google広告ヘルプ「P-MAX で検索テーマを活用して関連性の高い新たなトラフィックに配信する」
検索テーマ機能の活用事例
オプトが検索テーマ機能を活用して支援し、広告効果を向上できたコスメ業界のクライアントの事例を紹介いたします。
課題
クライアントは、P-MAXキャンペーンを活用して広告を配信しており、「アセット」「フィード」「ランディングページ」からではAIが予測しきれない検索語句への、配信に関する機械損失に課題感を持っていました。
施策
そこで、P-MAXキャンペーンの学習シグナルとして、検索テーマ機能を用いて、キーワードを設定しました。具体的には、次の二種類のキーワードを設定しました。
- 自社商品の固有名詞(指名キーワード)
- アプローチしたいユーザーの興味関心につながるキーワード
結果
その結果、コンバージョン数は177%向上し、CVR(コンバージョン率)も140%向上しました。また、CPA(コンバージョン単価)を68%に削減できました。
この結果は、検索テーマ機能を活用して、検索語句を補ったことにより、Google AIの機械学習の精度を向上させることができたため、と考えられます。
まとめ
P-MAXキャンペーンは、広告運用のパフォーマンスの最大化を目指すことを目的とするキャンペーンです。
1つの広告キャンペーンで、複数の配信面に広告を掲載でき、複数の配信面で取得したデータを活用して、広告運用のパフォーマンスの効果の最大化を目指すため、コンバージョンに至るユーザーを増やすことにつながりやすいという特徴を持っています。
P-MAXキャンペーンの効果最大化を目指すためには、2つのフェーズで捉え、一次学習を早期完了させたうえで、二次学習への計画的なアプローチを行います。
一次学習の早期完了のためには、検索テーマ機能を用いて、Google AIが予測しにくい検索語句を補うことをおすすめしています。
オプトには、業界ごとに検索テーマとして、設定したいキーワードに関する知見があり、二次学習への効果的なアプローチも含めて、P-MAXキャンペーンの効果の最大化を目指す知見を持っています。本記事で紹介した検索テーマ機能も活用し、P-MAXキャンペーンの成果改善に取り組んでみてほしいと考えています。
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