BtoBマーケティングの広告のカギを握るリードコンテンツとは?
Webマーケティング施策は数多くありますが、業界ごとに注力する施策や、重視するKPIは異なります。
自社の業界に合ったマーケティング施策を決定し、成果へつなげるための本連載。BtoB業界におけるWebマーケティングの勘所について、株式会社オプトでBtoB業界に特化して支援している熊井戸皓太が解説します。
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BtoBで優先すべきは「顧客との接点を生み出すためのコンテンツ」の選定
BtoB業界のWEB広告施策を設計する際、特に重要なのは「自社サービスのターゲットとなる顧客層とどのような接点(リード地点)が成約に寄与するかという観点です。マーケティング担当者はこの観点を意識することが最も重要だと考えます。
BtoB業界は、顧客と接点をもってからのリードタイムが長く、事業としてのキャッシュポイントが遠いのが特徴です。しかし、顧客と接点をもつ取り組みの指標として「導入検討前の見込み顧客数」までしか見ていないケースが非常に多いように思います。
見込み顧客に出会えていたとしても、その後のキャッシュポイントまで至っているのかがわからなければ、事業に貢献しているとは言えません。
一方で、マーケティング担当者が「受注」までを指標に含めてしまうと、マーケティング担当者だけではコントロールできない営業活動における変数が増えすぎてしまい、評価がしづらくなります。そのため、下の図の通り、まずは中間指標である「商談数」をKPIに設定することを推奨しています。
施策は、KPIに近い変数から改善をしていくのがセオリーです。仮に「商談数」をKPIと置くのであれば、改善したいポイントは下の図の通り、「商談取得率」、その次に「CVR」になってきます。
中でも具体的な施策の優先順位として高いのは、コンテンツとしてお客様に何をどう訴求するのかという「顧客との接点を生み出すためのコンテンツ(ホワイトペーパーやウェビナー)」の内容選定だと思います。
BtoB業界における見込み顧客と出会うための広告配信では、ホワイトペーパーのダウンロードやウェビナーの集客を目的とするものが非常に多いです。
ただ、ホワイトペーパーやウェビナーの広告バナーを作成する際、コンテンツの内容がそのまま「訴求」となります。そのため、広告バナーではコピーライティングやデザイン・構成という、限られた部分しか自由に表現できません。
しかし、下の図の通り、ダイレクト配信においては、コンテンツのフォーマット(FMT)や訴求内容が広告実績を左右するのです。
そのため、 ウェビナー、ホワイトペーパー、お問い合わせ、製品資料など、どのようなコンテンツがあり(コンテンツFMT)、どのような「フォーマット」でどのような「訴求」を伝えるのかを考えることが、優先順位として非常に高くなります。
つまり、この段階はコンテンツのアイテムを増やしつつ、顧客に振り向いてもらうコンテンツフォーマットや訴求を見つけるプロセスになります。
下の図は縦軸がコンバージョン数、横軸がサービス内容に沿った顧客層を示します。この場合、サービス内容に沿った顧客層から多くの問い合わせをいただけるコンテンツが一番良く、広告で注力をして訴求したいコンテンツです。
ステップとしては、コンテンツの選択肢を広げた上で、提供サービスごとに「顧客の心を動かすコンテンツ」の訴求方法やパターンを見つけにいくこと。それが最も大きいコントロールレバーだと考えています。
ファーストステップで「顧客に求められるコンテンツ」を見つける
このようなコントロールレバーの最適化を図る場合、下の図のように、まずは「勝ちコンテンツ」を見つけます。次にそのコンテンツを魅力的に感じてもらうためにはどのような広告バナーの表現が一番適しているのかを検証します。
実際に、バナー表現は変えずに、クリックした先の訴求コンテンツを1本新規追加したことでコンバージョンのみならず、有効コンバージョン(事業ターゲットのコンバージョン)の単価が劇的に改善しました。
つまり、広告ではなく、その先のコンテンツに改善余地があったということです。
BtoBマーケティングにおけるWeb広告を考えたとき、オプトでご支援している企業様はFacebook広告に出稿されるケースが多いです。
予算規模や状況によって変わるという前提はありつつも、リスティング広告を併用される企業様も多くいらっしゃいます。ただ、BtoB向けは検索ボリュームがそれほど多くはないので、ネイティブ広告をおすすめすることもあります。
ビジネス誌や業界紙などでのネイティブ広告であれば、常にご自身の業界に関する情報を取得されている方が多いので、自分の実務に関わるコンテンツ(ネイティブ広告)が出てくると、モチベーション高くクリックされる確率が高くなるからです。
見込み顧客と出会う数は商談につながらなければ意味がない
ここまで解説したように、BtoB業界で商談を作る場合、顧客が求めるコンテンツの制作が非常に重要です。しかし、いくら顧客に求められるコンテンツを増やしても、ただ見込み顧客との接点が増えただけで終わってしまっては意味がありません。
以前、ある企業様から「マーケティング改善施策を打ったことで見込み顧客と出会う機会は増えたものの、商談につながらない」というご相談をいただいたことがあります。
ホワイトペーパーをダウンロードされたお客様にご連絡しても「今すぐに検討しているわけではない」「情報収集のためなので営業はいらない」と断られ、商談機会をいただけないという、よくあるケースです。
その当時使われていたコンテンツは、調査資料であり、サービスに対する購買意欲が高くない方でもダウンロードしたくなるようなコンテンツでした。
このように見込み顧客との接点が増えても商談数が伴わないこともあるのです。
そのため、オプトでは購買意欲の高い方が求めるコンテンツはどんなものなのかをデータ分析し、コンテンツのフォーマットと訴求方法の変更をご提案しました。
しかし、「すぐに商談につながりやすい方」向けのコンテンツに変更した場合、今度は見込み顧客数は減ってしまいます。
とはいえ、KPIの話に立ち返ると、見込み顧客と出会う機会が仮に減ったとしても、その後の商談や受注成約までつながるケースが増えるのであれば、それは事業全体としてはポジティブと言えるのです。
そのような背景から、目標数は落としてでも、事業のキャッシュポイントにつながりやすい方法を見つけにいく、という決断をしていただきました。
マーケティング施策の選択肢が変わる要素とは
先ほど紹介した見込み顧客数を落として検討層に近いコンテンツを用意する取り組みは、すべてのBtoB事業会社に当てはまるとは限りません。
下の図の通り、マーケティング施策の選択肢が変わる要素には、市場規模と営業力の2つがあります。
特定の職種、役職、業種向けのサービスなど市場の規模が小さい場合は、広告を出しても対象となる見込み顧客に正しくリーチするのが難しいからです。
そのような場合は、まずは見込み顧客との接点を作らなくてはいけないので、対象となる方も興味をもつようなコンテンツで見込み顧客との接点を作り、少しずつ見込み顧客との信頼関係を構築していく必要があるでしょう。
それは、企業として営業力があるかどうかにも関係してきます。インサイドセールス、フィールドセールスがどれだけ強いかで、商談転換率や、成約までのクロージング率は大きく異なります。営業のリソース、スキルによって、マーケティング施策の選択肢は変わってくるのです。
ユーザーに対する解像度とコミュニケーション戦略が成否を分ける
各Webマーケティング施策を改善する際のファーストステップは、どこが原因になって成約までつながっていないのかの「課題特定」になります。
どのチャネルから、どの広告クリエイティブをきっかけに接点をもつことができた顧客が、どこのタイミングで購買しない決断をしてしまっているのかを次のようなツールを用いて一気通貫で可視化する計測環境を整えます。
・MA(Marketing Automation/マーケティング施策実行ツール)
・SFA(Sales Force Automation/営業支援システム)
・CDP(Customer Data Platform/顧客データプラットフォーム)
この課題特定ができたら、ありたい「コミュニケーション戦略」が取れているかどうかを考えていくのがセカンドステップです。
BtoB業界は関係者が多く成約までに時間がかかるという、カスタマージャーニーが複雑なのが特徴です。そのため、ユーザーに対する解像度を高くもてているか、並びにそれに対して、ありたいコミュニケーション戦略を描けているかが、戦略の成否を分けるポイントになると思います。
マーケティングから営業まで、一気通貫でお客様のカスタマージャーニーを理解し、それに対して各施策で何をアプローチすればいいのか、というインサイトの整理と訴求整理をする。この全体設計について正しい姿を描けているかいないかによって、Web広告を始め、各施策で出せる成果は全く変わってきます。
まずは全体をしっかり俯瞰して、お客様のことを正しく理解することです。
Web広告単体でメッセージを考えるという「メディアの運用起点」ではなく、「全体の戦略起点」として、ありたい姿になっているかを見直していくことが最も重要ではないかと考えます。
オプトで実施したFacebookの定常配信の事例
ここからは、実際に次の2点について検証を行った事例を紹介します。
・顧客がどういったコンテンツを求めているのか
・コンテンツについてどういった訴求を行うべきか
いずれも選択すべきものが数字から明確に見えた事例なので、ぜひとも自社における最適なマーケティング施策を選定する際の参考にしてください。
リードコンテンツごとに効果に差が出た例
はじめに、顧客がどういったコンテンツを求めているのかについて検証を行った事例を紹介します。
本件では、同じ月に次の3つのリードコンテンツを配信しています。
・サービス概要資料
・ホワイトペーパー(WP)
・カンファレンス
その結果、下の図の通り、各リードコンテンツによりCVに関わるCPAおよび有効CVが大きく改善しました。
もちろん広告配信はセグメント、クリエイティブをはじめとしたさまざまな要素により効果が変わりますが、本件においてはカンファレンスとホワイトペーパーを主に改善するのが次月以降の商談数改善に寄与すると考えられるでしょう。
6つの広告クリエイティブの比較を行った事例
続いて、見込み顧客に対してどのような訴求が適切なのか、6つの広告クリエイティブを比較した事例を紹介します。
本件では、下の図の通り6つのクリエイティブを用いて、効果を比較しました。
結果としては、「広告①」と「広告②」の広告にCVが発生しました。そのため広告ターゲット広告①と広告②のクリエイティブで行った訴求に対応する形で課題を認識している可能性が高いと考えることができます。
次月以降は、上記2つのクリエイティブを軸にしてブラッシュアップを行うべきと判断できたのです。
以上、当社で支援した事例をもとに説明させていただきました。商談を作るという目的との兼ね合いにおいて、見込み顧客がどのようなコンテンツを求めていて、そのコンテンツをどのように訴求すべきか。これらの点は複数のパターンを試しながら最適化していく必要があります。
まとめ
BtoBマーケティングにおいて広告は重要な役割を果たしますが、広告単体でリード獲得するのには限界があります。そのため、リードコンテンツは重要な役割を担っています。
リードコンテンツは情報提供型コンテンツなので、顧客のニーズを正確に把握し、顧客にとって価値のある情報を提供することが重要です。
オプトではリードコンテンツのフォーマットおよび訴求方法の作成・検証だけでなく、データベースやリーズナブルな広告、マーケティング支援、フォローアップまで、さまざまなニーズに合わせた包括的なサポートを提供しております。
また、これまで数多くのBtoB企業のデジタルマーケティングを支援してきており、商品・サービスの内容に合わせた最適な支援を行う知見を有しています。
これから広告投資を始めようと計画している場合や予算増額を検討している場合はぜひオプトまでご相談ください。数字とロジックに基づいた検証で、あなたの会社に最適な施策を早期に見つけましょう。
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