ターゲティング広告のKPI設計とCRITEOにおけるコンバージョン増加事例
Cookie規制が進んだことから、3rd Party Cookieを利用せずに見込み顧客にアプローチできる手法が模索されています。そうしたなか、ダイナミックリターゲティング広告のパイオニアであるCRITEOも、コンテクスチュアル・ターゲティングを用いた広告メニューを拡充しています。
今回の記事では、CRITEOのコンテクスチュアル広告について解説します。コンテクスチュアル・ターゲティングを活用した広告の事例も紹介していますので、最後までご覧ください。
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プロフィール安本 義和(やすもと よしかず) 株式会社オプト 第1営業本部6部 チームマネージャー 2016年オプト中途入社。運用型広告を扱うコンサルティングセールス部にてWEB広告コンサルティング業務を経験したのち、アカウントプランニング部へ。主に多品目ECを運営する広告主に対するWEB広告のコンサルタントを担当している。 |
目次[非表示]
- 0.1.プロフィール
- 1.CRITEOとは
- 2.CRITEOの提供するコンテクスチュアル・ターゲティング
- 3.事例
- 3.1.コンテクスチュアル・ターゲティング活用の工夫
- 3.2.運用
- 4.結果
- 5.まとめ
CRITEOとは
CRITEOは、フランスのパリに本社を置く広告会社です。同社の代表的なサービスであるリターゲティング型の動的ディスプレイ広告をCRITEOと呼ぶこともあります。
CRITEOは、ダイナミックリターゲティング広告のパイオニア企業ですが、日本でもインターネットユーザーの88%がCRITEOの広告を目にしていると言われています。
このように、これまでCRITEOは、リターゲティング型の動的ディスプレイ広告を主たるサービスとしていました。しかし、昨今のCookie規制の流れを受けて、CRITEOもCookieを使わない広告サービスやプロダクトを増やしています。
CRITEOの提供するコンテクスチュアル・ターゲティング
広告におけるCookieの使用が規制されるなかで注目を集めているのが、コンテクスチュアル・ターゲティングです。
コンテクスチュアル・ターゲティングとは、広告をインターネット上のコンテンツにマッチングさせる手法です。特徴は、マッチングのためのコンテンツについて、キーワードのみならず、文脈まで分析する点です。
コンテクスチュアル・ターゲティングの手法自体は、2000年代初期から存在しており、特に新しいものではありません。昨今のCookie規制の流れを受けて、この手法が再度注目されています。
Cookieが規制される時代の新しい広告
ダイナミックリターゲティング広告のパイオニアであるCRITEOも、コンテクスチュアル・ターゲティングを用いた広告サービスを開始しました。
CRITEOのコンテクスチュアル広告では、次の4つの流れで適切な場所への広告配信を実現します。*¹
1. Webページを解析し、URL、カテゴリ、テキスト、画像などの従来のコンテクスチュアル・シグナルを検知し、各ページの関連性を理解
2. 対象商品が購入・閲覧される前にCRITEOのファーストパーティー・メディア・ネットワークのどこに表示されていたかを分析
3. カタログ内の各商品、コンテキストベースのカテゴリ、CRITEOのドメイン間における親和性スコアを算出
4. ページの文脈的な関連性と商品の親和性スコアを結びつけ、対象ページに最適な商品を掲載
このように、CRITEOのコンテクスチュアル広告は、3rd Party Cookieを利用せずに見込み顧客にアプローチできる手法です。
*¹出典:CRITEO「コンテクスチュアル広告」
広告にそぐわないページへの掲載を回避できる
なお、コンテクスチュアル広告のメリットは、3rd Party Cookieを利用せずに見込み顧客にアプローチできることだけではありません。
コンテクスチュアル・ターゲティングは、コンテンツ内のキーワードのみならず、文脈を読み取って広告を配信する場所を決めます。そのため、フェイクニュースやヘイトスピーチが行われているコンテンツへの広告掲載を避けることができます。
この点が、ブランドに対してネガティブな影響を与える場所への広告掲載を避けたいと考える広告主にとって、コンテクスチュアル・ターゲティングが注目される理由です。
事例
ここからは、CRITEOのコンテクスチュアル・ターゲティングを活用した事例を紹介します。
本事例におけるクライアントは、某アパレルメーカーです。同社には、新規顧客との接点を増やしたいというニーズがありました。そこで、CPA(コンバージョン単価)を抑えながら、CV(コンバージョン)増加が期待できる施策としてコンテクスチュアル・ターゲティングを開始しました。
コンテクスチュアル・ターゲティング活用の工夫
本事例では、コンテクスチュアル・ターゲティングの活用にも工夫をこらしています。そもそもコンテクスチュアル・ターゲティングが新規顧客へアプロ―チできる手法であることは分かっていました。一方で、ラストクリックCV(注1)がつきにくいという側面もありました。
そこで、アトリビューションモデルから相関分析を行い、コンテクスチュアル・ターゲティングのファーストクリックCV(注2)がラストクリックCVにどう影響するかを可視化したところ、正の相関関係にあることが証明できました。こうした分析をふまえ、本事例におけるKPIを「ファーストクリックCPA(ファーストクリックにおけるコンバージョン単価)」に設定しています。
(注1)ラストクリックCV:アトリビューションモデルにおいて、コンバージョン経路で最後にクリックされた広告とそれに対応するキーワードのみに貢献度を割り当てること
(注2)ファーストクリックCV:アトリビューションモデルにおいて、コンバージョン経路で最初にクリックされた広告とそれに対応するキーワードのみに貢献度を割り当てること
運用
運用においては、複数の広告のファーストクリックCPAを分析し、広告をファーストクリックCPAの高さで3つに分類し、次の対応を実施しました。
・ファーストクリックCPAが最も高い広告 :配信停止
・ファーストクリックCPAが二番目に高い広告:配信維持
・ファーストクリックCPAが低い広告 :予算を増やして配信
上述の運用を図説すると次の通りです。
ファーストクリックCVに対する評価の考え方と広告配信設計の参考にしてください。
結果
こうした運用を行い、次の結果を実現しました。
以上のように、本事例ではコンテクスチュアル・ターゲティングを活用し、既存配信のターゲティングメニューとほぼ同様のファーストクリックCPAでリターゲティング配信に対しては8.6%、類似ターゲティングに対しては83.5%のファーストクリックCVの増加を実現し、新規顧客へのアプローチに成功しました。
まとめ
今回は、Cookie規制が進むなかで、3rd Party Cookieを使用せずに、見込み顧客にアプローチできる手法としてCRITEOのコンテクスチュアル・ターゲティングについて解説しました。
コンテクスチュアル・ターゲティングは、広告の配信先としてどのコンテンツが適切か、キーワードのみならず文脈まで分析して判断します。そのため、フェイクニュースやヘイトスピーチが行われているコンテンツへの広告掲載を避けられるというメリットもあります。
ダイナミックリターゲティング広告のパイオニアであるCRITEOも、コンテクスチュアル・ターゲティングを用いた広告メニューを拡充しており、今のうちから使いこなすコツを把握しておくことがおすすめです。
「コマースメディア・プラットフォーム」という構想のもとでサービスを拡充しているCRITEOは、今後も注目の媒体です。
コンテクスチュアル・ターゲティングを活用して効率よくCVを獲得したいとお考えの場合は、ぜひ当社にご相談ください。
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