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【事例あり】美容業界のバズ事例を大解剖! SNSで“人が動く”プランニング術とは


こんにちは。SNS Insights Labの櫻田葉南(さくらだはな)です。
SNS Insights Labは、SNSに知見があるプランナーを集めて新設されたオプトのプランニング&クリエイティブユニットです。



近年、消費者の購買行動や情報収集プロセスが大きく変わり、SNSが生活の中心に組み込まれています。この変化により、マーケティング担当者は、KGIを達成するためにSNSを効果的に活用することが求められるようになってきたのではないでしょうか。しかし、私たちが日々接するマーケティング担当者からは、「SNS施策を実施しても口コミやユーザー投稿が増えない」「ビジネス成果につながっている実感がない」という悩みをよく耳にします。SNS施策において成功と失敗の分かれ目はどこにあるのでしょうか?


私たちSNS Insights Labでは、「SNS利用時に現れる欲求(=SNS Insight)」を刺激する施策設計が成功のカギであると考えています。


SNSユーザーの欲求とは何か。そして、それをどう活用すればSNS施策の成功に結び付けられるのか。直近でX(旧Twitter)で話題となったキャンペーンの成功要因を紐解きながら解説します。


SNS利用者の欲求とは


一般的にマーケティングでは「インサイト」を捉えることが重要だと言われていますが、日常的な生活者のインサイトと、SNS利用時に現れるインサイト(以下、「SNS Insight」)は異なることをご存じでしょうか。SNS Insights Labでは施策設計の軸となる、SNS利用者のリアルな心理(欲求)を5つのカテゴリに大別しました。ターゲットはどの欲求を強く持っているのか。そしてその欲求により生じるターゲットの行動特性は何か。この2点をデプスインタビューやアンケート調査で可視化します。



SNS Insightに触れずにプラットフォームの機能を軸に施策を設計すると、消費者の「参加したい」「広めたい」といった気持ちを動かすことができず、情報が埋もれてしまいます。この「SNS Insight」と「行動特性」に軸を置くことで、「人が動く施策」をプランニングすることができるのです。



業界別成功事例分


昨今SNSで注目を集めた、「SNS Insight」と「行動特性」をうまく活用した事例を、実際に分析していきます。 今回は弊社のお客様にも多い、美容商材(コスメ・スキンケア)の事例をみてみます。


事例①スカルプDマスカラ/#スカルプDマスカラ買わない理由


本ブランドはまつ毛美容液が広く認知されている一方で、同ブランドのマスカラの認知度が低いという問題がありました。そこで2024年12月末に公式アカウントをフォローし、指定のハッシュタグとともに「買わない理由」を投稿すると、抽選で商品がもらえるキャンペーンを実施しました。
ターゲットは20代から50代の女性で、同ブランドのまつ毛美容液は知っているがマスカラは知らない層だと推測します。最近はコスメを購入する前にレビューをしっかり確かめる傾向があります。そこで今回は、SNSでレビューを「投稿している人」=「美容オタク」をプロモーションターゲットと設定することで、商品の改善点を探りながら、商品認知を広げることを意図したのではないでしょうか。


ここで重要なのは、美容オタク層が持つ「議論欲求」「承認欲求」とそれによって生じる「興味のある商品を分析し、自らの知識やレビューを積極的に発信したい」という行動特性に着目した点です。


それらを刺激するために、話題を提供して知識の発信を促進する施策構造(話題提供型)を採用したのだと考えられます。一般的には参加ハードルが高くなりがちな「意見を添えて引用リポスト」を応募条件にすることで、ターゲットの「比較検証した商品知識を誰かに伝える」という行動特性を引き起こしました。


さらに美容オタク層やそのフォロワーは情報収集欲求が高く、「初めて知った商品について詳しく調べる」行動特性があります。実際に本商品を初めて知った人は、サイトから商品情報を確かめた上でキャンペーンに参加していました。その検索行動特性を促すために、「美容液は知っているのにマスカラは知らなかった」という気づきを与えたことが、1つの投稿で認知からトライアル促進までを一貫して実現できたのだと思います。


キャンペーン投稿:https://x.com/scalpd_eye/status/1869654438245490952



事例② マキアージュ「ドラマティックエッセンスルージュ」/#とろける美膜リップキャンペーン


マキアージュ「ドラマティックエッセンスルージュ」は、アイドルグループを起用したプレゼントキャンペーンを2024年10月末に実施しました。
この商材のターゲットは、SNSで話題の商品に興味があるが、美容情報を積極的に追求しない女性(美容ライト層)だったと推測します。この層は、従来のインフルエンサーを介した情報拡散だけでは不十分で、SNS上で話題をつくる新たなアプローチが必要でした。


その場合、美容ライト層に広く伝達できるユニークなアイデアを考えやすい傾向にあります。しかし、このプロモーションでは「推し承認欲求」というSNS Insightに着目した企画設計が行われています。「推し承認欲求」を持つ層は、積極的な拡散により推しの良さを広めていくための応援行動を執る特性があるため、プロモーションの起爆剤として活用しやすい特性を持っています。特に今回起用したオーディション番組からデビューしたアイドルグループのファン層は、その応援行動が強い傾向があります。さらに、マキアージュのリップはパッケージに刻印が可能です。このため、「推しの名前入りのグッズを持ち歩く」行動特性を持つ層とは親和性がありました。


その強い応援行動を促すために、施策構造として採用したのが「応援コンテンツ型」だったのかなと想定されます。チーム写真を使用した投稿に加え、メンバー個人の写真を順次公開することで、応援行動(いいね・リプライ)の量が可視化されます。自分の推しの人気度を数値で可視化することで、存在をより広めたいというファンの推し承認欲求を効果的に刺激し、SNS上での発話と拡散を活性化しました。また、指定のリポスト数を超えると、順次新たな動画が公開される仕組みも、ファン全員の応援行動を促進した要因になっています。


さらに「刻印サービス」を投稿内で訴求することで、他の層にも「推し活アイテム」として想起させて巻き込んだことも成功要因の1つだと考えられます。
PRTIMES:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002739.000005794.html



事例③カウブランド無添加/#やさしすぎる同棲生活キャンペーン


2024年11月末、カウブランドは声優・イラストレーターを起用して制作したブランドキャラクター「むてんかクン」の動画が楽しめるプレゼントキャンペーンを実施しました。キャンペーン投稿をリポストすることで、彼女目線でむてんかクンとの生活を疑似体験できる6種類の動画をランダムに受け取ることができます。


「カウブランド無添加」は無添加スキンケアで知られていますが、競合商品が増えてきたことや、ボディケアやヘアケアラインの認知度が低いという問題がありました。そのため複数回・定期的に情報を発信することで、ブランドイメージの醸成や他ラインへの認知拡大を狙う必要がありました。


ターゲットは事例①と同様に美容ライト層ですが、上記の課題を踏まえて複数回商品に触れる機会を設ける狙いと親和性が高い「情報収集欲求」に注目した施策構造になっています。今回は目を閉じて使用するスキンケア商材との親和性が高く、音声に強みがある声優をアサイン。その声優ファン層の行動特性を刺激する施策座組にしたことが、成功要因になっています。着目したのは「推しの情報・画像を漏らさず手に入れる」という行動特性。それを促すために動画をランダムに配信する「探索発見型」の施策を設計し、複数回リポストをしなければ動画を全て手に入れることができない仕組みにしたことで、話題化させることができました。さらに「どのシーンが好き?」といった公式の問いかけをすることで、全動画を見たいという欲求をさらに刺激できたのではないでしょうか。


PRTIMES:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000025.000036649.html





媒体特性とターゲットの欲求や行動特性の相性


今回はXでのキャンペーン事例を3つご紹介しました。Xはインタラクティブ性が高い媒体のため、「自分の知識や興味分野の情報を強く収集・発信したい」という欲求や行動特性を持つターゲットとの親和性が良いです。


マキアージュやカウブランドの事例のように、「推しのことを応援・共有したい」という行動特性を持つ場合は、段階的に情報を手に入れられる仕組みにすることで、応援(拡散)する機会を複数回醸成できます。また、スカルプDマスカラキャンペーンのように「詳しい人に教えてもらう」という仕組みも、Xのインタラクティブ性とプロモーションターゲットの行動特性をうまく組み合わせた事例でしょう。


おわりに


今回はSNS活用の成功に必要な「人が動く企画設計」について解説いたしました。ご紹介したように、①SNS Insightと、②それから生じる行動特性に軸を置き、その行動特性を促す施策構造をプランニングすることが、SNS上で人が自ら動きたくなるために必要な要素です。
今回ご紹介したプランニングメソッドの他にも、効果の可視化が難しいSNS指標の評価モデルも開発・提供しています。


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櫻田 葉南
櫻田 葉南
コミュニケーションデザイン部 ストラテジックプランナー/PRプランナー 兼 SNS Insights Lab 2020年にPR会社に入社し、金融・食品・SaaSなど様々な業界のPR戦略策定から実行まで幅広く手掛ける。 2024年にオプトに中途入社し、ストラテジックプランナー兼SNS Insights Labメンバーとして、生活者インサイト・SNSインサイトを深堀りしたコミュニケーション設計を行う。 前職の知見を活かした、ブランド視点での戦略立案が強み。ヘアケア・スキンケア・エステなどの美容商材から、食品・金融など幅広い業界を担当する。
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