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iOS計測の壁を突破:Meta広告クッションLP活用でCPA90%削減を達成した事例

はじめに

本記事では、Meta広告のアプリインストール目的のキャンペーンにクッションLPを活用し、アプリ広告のパフォーマンスを大幅に改善した事例についてご紹介します。

特に、費用対効果(CPA)を10分の1以下に抑えながら、広告費を6倍以上伸ばすことに成功しました。この成果は、デジタル広告の新たな可能性を示すものです。

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目次[非表示]

  1. 1.はじめに
  2. 2.背景:iOSにおける広告計測の課題
    1. 2.1.ATT許諾の影響
  3. 3.Web To Appキャンペーンとは
    1. 3.1.Web To Appキャンペーンの仕組み
  4. 4.Meta広告での成功事例
    1. 4.1.実績改善の要因
    2. 4.2.Meta広告以外の媒体への可能性
    3. 4.3.まとめ
  5. 5.Q&A

背景:iOSにおける広告計測の課題

グローバル媒体におけるiOSユーザーの広告コンバージョン(CV)計測には、大きな課題があります。AppleのATT(App Tracking Transparency)の許諾率が平均20%から30%に留まっているため、グローバル媒体で計測可能なiOSユーザーの広告CVの割合は、わずか9%に過ぎません。これは、約90%近くの広告CVが欠損していることを意味します

その結果、日本のOSユーザー比率はiOSが優勢であるにもかかわらず、多くのグローバル媒体ではアプリ広告の配信がAndroidに偏ってしまうという課題が生じています。iOSユーザーはユーザー数が多いだけでなく、ユーザーの質も高い傾向にあるため、配信が伸びないことは大きな機会損失となります。また、データが欠損するため、広告の最適化が進まないという問題も抱えています

ATT許諾の影響

ATT許諾を求めるポップアップが表示され、「許可」または「Appにトラッキングしないように要求」を選択する画面の抽象図

iOSでは、ユーザーが識別情報(IDFA)の取得を許可(オプトイン)しなければ、広告IDの取得が困難になっています。許可率は平均で20〜30%にとどまっており、iOS環境下でIDFAを取得することが難しくなっています。これにより、iOSユーザーの計測可能なコンバージョン数が減少しているのが現状です

Web To Appキャンペーンとは

ウェブLPを活用したアプリストア遷移のユーザー導線設計をWeb To Appキャンペーンと呼んでいます。

iOSユーザーの計測可能なコンバージョン数が減少する課題に対し、Apple社が打ち出したのがSKANという広告計測の仕組みです。しかし、SKANには「リアルタイムでの運用が困難」であったり、「アプリイベントのデータが欠損しがち」といった課題点があり、特にアプリイベントの最適化には向いていません

そこで次に期待されたのが、MMP(モバイル計測パートナー)の確率的マッチングによる計測です。この手法では、Web To Appキャンペーンにする必要があり、広告IDに頼らず、IPアドレスやユーザーエージェントなどの情報を用いてコンバージョンを紐付けることが可能になります

Web To Appキャンペーンには、LPを介さないパターンとLPを介すパターンの2種類があります。Meta広告では、LPを介さないパターンのWeb To Appキャンペーンが設定可能です。Webキャンペーンを利用し、URLにMMPの計測リンクを直接挿入することで、ユーザーの導線は通常のアプリ広告と同じでありながら、コンバージョンデータを補完できます

Web To Appキャンペーンの仕組み

Web To AppキャンペーンにおけるLPを介す、介さない両方のパターンを図解した抽象図

  • LPを介さないパターン

    • このパターンは、通常のアプリキャンペーンと同様の導線です

    • 広告をクリックすると、直接AppStoreが起動します

    • AdjustなどのMMPは、リダイレクトを利用して、ほぼ全てのiOSユーザーのクリックID(fbclid)を取得できます。Webキャンペーンであるため、IDFAが取得できなくても制限がありません

  • LPを介すパターン

    • このパターンは、通常のWebキャンペーンと同様の導線です

    • 広告クリック後、一度LP(ランディングページ)に遷移し、CTAボタンをクリックした後にAppStoreへ遷移します

    • 他のページに遷移すると、コンバージョン結合に利用されるデータがAdjustと連携できなくなります。そのため、今回の事例では他のページへの導線をほとんど省き、アプリインストールボタンのみにしたシンプルなLPが実績につながったと考えられます

Meta広告での成功事例

今回の事例では、Meta広告のWeb To Appキャンペーン(LPを介さない)を実施し、大きな成果を上げました。

この結果、Meta広告のiOS配信において、AEM(推定コンバージョン)を利用したアプリイベントキャンペーンと比較して、コストを6倍に伸ばしつつ、MMP計測の実績ではCPAを10分の1以下に改善できました

また、LPを介すWeb To Appキャンペーンも実施したところ、大きなCPAの変動なく着地し、2024年11月のAEM実績と比較すると、MMP計測の実績でCPAが7%以下になるという結果も得られました

実績改善の要因

今回の実績改善には、主に以下の3つの要因が考えられます

  • 要因①:MMP確率的マッチングによるCVデータの増加

  • 要因②:最適化に利用できるデータ量の増加

  • 要因③:外部要因:先方のアプリ改修での導線変更

要因①と②は、Web To Appキャンペーンの仕組みが深く関連しています。Web To Appキャンペーンでは、MMPの確率的マッチングを利用してアプリ内イベントがアトリビューション(計測)されるため、広告IDに依存しない計測が可能になります。Meta広告が利用するIPアドレスやユーザーエージェントなどのデータに加え、Web To AppではClickID(fbclid)もコンバージョン紐付けに利用できるため、データ量が増加します

一方、既存のAEM最適化では、Adjustがfbclidを取得する手段がなく、IDFAを起点に類似ユーザーの発見などを行う可能性があり、リーチするユーザーも減少する傾向にあります

実際に、キャンペーンのオーディエンスサイズを比較すると、WebキャンペーンはAppキャンペーンよりも2.4倍ほどリーチが広くなる状況が確認されています

Meta広告以外の媒体への可能性

今回のMeta広告での成功事例は、他の媒体でのWeb To Appキャンペーンへの期待も高めます。GoogleなどでもLPを介すWeb To Appは理論上実施可能であるため、iOS攻略への道が開かれる可能性があります。特に、GoogleはこれまでiOSとの相性が悪いとされてきたため、この手法の応用によって、他社との差別化につながる可能性を秘めています

まとめ

本事例は、Web To Appキャンペーンという手法が、iOSの広告計測における課題を克服し、アプリ広告のパフォーマンスを劇的に改善できることを示しました。特に、データ欠損の多いiOSユーザーに対して、MMPの確率的マッチングやWebキャンペーンの特性を活かし、コストを抑えながら配信量を拡大できることが大きな強みです。今回の成功は、今後Googleをはじめとする他のグローバル媒体でのiOSプロモーションの可能性を広げるものと言えるでしょう。この手法が、多くの企業にとってiOSユーザーへのリーチを拡大する有効な手段となることを期待します。

Q&A

Q1. Meta広告でアプリ広告のパフォーマンスを大幅に改善した「Web To Appキャンペーン」とは具体的にどのような手法ですか?

A. 本記事におけるWeb To Appキャンペーンとは、アプリインストールを目的としたキャンペーンにおいて、クッションLP(ランディングページ)を介するか介さないかを問わず、MMP(モバイル計測パートナー)の計測リンクをURLに直接挿入し、Webキャンペーンとしてアプリストアへユーザーを遷移させる導線設計です。これにより、iOSのATT(App Tracking Transparency)による計測制約を回避し、データの欠損を補完することを主目的としています。

Q2. iOSユーザーの広告コンバージョン(CV)計測における主要な課題と、その原因は何ですか?

A. 主要な課題は、グローバル媒体での広告CVの約90%近くが欠損し、その結果としてアプリ広告の配信がAndroidに偏ってしまうことです。これは、AppleのATT(App Tracking Transparency)によって、ユーザーの識別情報(IDFA)の取得許可率が平均20%〜30%に留まっており、広告IDに依存した計測が困難になっていることに起因します。

Q3. 本事例でMeta広告のWeb To Appキャンペーンを実施した結果、得られた具体的な費用対効果の改善実績は何ですか?

A.本事例では、Meta広告のiOS配信において、AEM(推定コンバージョン)を利用した従来のアプリイベントキャンペーンと比較し、MMP計測の実績ベースでCPA(顧客獲得単価)を10分の1以下に改善しながら、広告費用を6倍以上に拡大することに成功しました。LPを介すパターンでも、MMP計測の実績CPAがAEM実績と比較して7%以下になるという結果が得られています。

Q4. Web To Appキャンペーンが、従来のAEM最適化と比較してパフォーマンスを改善した主な技術的要因は何ですか?

A.主な要因は、MMPの確率的マッチングによるCVデータ量の増加と、最適化に利用できるデータ量の拡大です。Web To Appキャンペーンでは、広告IDに依存せず、IPアドレスやユーザーエージェントに加え、Webキャンペーンの特性を活かしてClickID(fbclid)もコンバージョン紐付けに利用可能となります。これにより、既存のAEM最適化よりも広範なオーディエンスにリーチし、最適化に必要なデータが大幅に増加しました。

                                                                           

Q5. 今回のMeta広告での成功事例は、今後Googleなどの他媒体でのiOSプロモーションにどのような可能性を示唆していますか?

今回の成功事例は、Web To Appキャンペーンの手法が、グローバル媒体におけるiOSの広告計測課題を克服する有効な手段であることを実証しました。この手法を応用することで、これまでiOSとの相性が悪いとされてきたGoogleなどの他のグローバル媒体においても、LPを介すWeb To Appキャンペーンなどを理論上実施可能とし、他社との差別化につながるiOSプロモーションの新たな道を切り拓く可能性を秘めています。

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