競合調査に何時間もかけていませんか?複数のタブを開いて情報を比較し、Excelやスプレッドシートにまとめる――この繰り返し作業が、もっと効率化できるとしたら。

2025年10月22日、OpenAIが発表した ChatGPT Atlas は、ブラウザとAIを融合させた新しいツールです。マーケティング業務で日常的に行う「調べる・比較する・まとめる」という作業を、劇的に効率化できる可能性を秘めています。

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マーケターが抱える「時間泥棒」

私たちの業務には、多くの非効率な作業が潜んでいます。

  • 競合調査に時間がかかりすぎる

    複数の競合サイトを開き、料金プラン、機能、ターゲット層を1つずつ確認してスプレッドシートに転記。この作業を複数社分繰り返すと、あっという間に半日が消えます。

  • トレンドリサーチの情報整理が煩雑

    業界トレンドを追うため、ニュース記事、ブログ、SNSの投稿を読み漁る。しかし、情報が散らばっているため、「結局何が重要だったか」を整理するのに時間がかかります。

  • 広告コピーやコンテンツ作成の下準備が大変

    競合の訴求ポイントを分析し、自社の強みと比較し、差別化ポイントを見つける。この下準備だけで、コピー作成以前に疲弊してしまうことも。

これらの課題に対して、ChatGPT Atlas はどのような解決策を提供するのでしょうか?

ChatGPT Atlas とは?

ChatGPT Atlas は、Google Chromeと同じChromiumベースのブラウザです。しかし、ただのブラウザではありません。「ブラウザに住むAIアシスタント」とイメージすると分かりやすいでしょう。

Atlasを理解する3つの特徴

  • 特徴1:常に横にいるAIアシスタント

    サイドバーにChatGPTが常駐し、今見ているページの内容を理解した状態で対話できます。「このページを要約して」「競合との違いを3つ挙げて」と話しかけるだけで、すぐに回答が得られます。

  • 特徴2:複数ページをまたいだ比較・分析

    複数のタブを開いた状態で「これらのサービスを価格と機能で比較表にして」と依頼すると、AIが各ページの情報を読み取り、比較表を自動生成します。

  • 特徴3:閲覧履歴を記憶する「ブラウザメモリ」

    先週調べた内容を覚えているため、「昨日見ていた競合3社に、さらに2社を追加して比較して」といった継続的なリサーチが可能になります。

基本スペック(技術情報)

  • 対応OS: 現在はmacOSのみ(Windows、iOS、Androidは順次対応予定)
  • 料金: ChatGPTの既存プラン(Free/Plus/Pro/Business)で利用可能
  • 互換性: Chrome拡張機能がそのまま使える

難しい設定は不要。Chromeを使っている感覚で、すぐに使い始められます。

マーケティング業務での実践活用法 4選

ここでは、今日から実務に使える4つのシーンを紹介します。

1) 競合調査

従来の方法:

競合サイトA、B、Cを順番に開く → 価格ページを探す → 機能一覧を確認 → スプレッドシートに手入力 → これを複数回繰り返す

Atlasでの方法

  1. 競合3社のサイトをそれぞれタブで開く
  2. サイドバーに「これらの企業の料金プラン、主要機能、無料トライアルの有無を表にまとめて」と入力
  3. 比較表の叩き台が短時間で完成

生成された表をコピーして、スプレッドシートに貼り付ければ完成です。細かい調整は必要ですが、ゼロから作るよりも圧倒的に速く仕上がります。

2) 広告コピーの骨子を素早く作成

  1. 自社のランディングページを開く
  2. サイドバーに以下のように依頼

おすすめ指示(コピペOK)

このページの主要な価値提案を3つ抽出し、 それぞれを30文字以内の広告コピーにして

  1. 複数のコピー案が提示されるので、気に入ったものを選んで調整

従来は、自社サイトを読み込んで、自分で言葉を考え、複数案を作る作業に時間がかかっていたものが、大幅に短縮されます。

3) 業界トレンドレポートを効率的に作成

  1. 関連するニュース記事やブログ記事を複数タブで開く
  2. サイドバーに依頼

おすすめ指示(コピペOK)

これらの記事から、業界の主要トレンドを3つ抽出し、 それぞれ100文字程度で説明して

  1. 生成された内容を確認し、追加で「各トレンドがマーケティングに与える影響を1文ずつ追加して」とブラッシュアップできます。

4) 顧客事例から訴求ポイントを抽出

  1. 自社の顧客事例ページや導入事例PDFを開く
  2. サイドバーに依頼

おすすめ指示(コピペOK)

この事例から、顧客が抱えていた課題、選定理由、 導入後の成果を箇条書きにして

  1. 複数の事例で同じ作業を繰り返し、「これらの事例に共通する選定理由Top3を抽出して」と分析させれば、営業資料で使える訴求ポイントが明確になります。

高度な機能:エージェントモード(有料プラン限定)

Plus、Pro、Businessプランでは、エージェントモードというさらに高度な機能が使えます。

エージェントモードとは?

「〇〇について調べて、結果を表にまとめて」と指示すると、AIが自動で以下の作業を自律的に実行します。

  1. 検索エンジンでキーワード検索
  2. 複数のサイトを訪問
  3. 情報を収集
  4. 表にまとめてレポート

活用例:比較表の自動生成

ユーザーは指示を出すだけ。あとはAIが作業する様子を眺めるだけです。

おすすめ指示

SNSマーケティングツールの大手5社について、 月額料金、分析機能、連携SNSを調べて比較表を作って

安全性への配慮

エージェントモードには、以下の制限が設けられています。

  • ファイルのダウンロードや実行はできない
  • パスワードや決済情報にはアクセスしない
  • いつでもユーザーが停止できる
  • 重要なサイトにアクセスする際は、ユーザーに許可を求めます

Atlasの使い方(基本ステップ)

導入はとてもシンプルです。3分で始められます。

  1. インストール

    chatgpt.com/atlas にアクセスし、macOS用のインストーラーをダウンロード。Chromeからブックマークや閲覧履歴をインポートできるので、乗り換えもスムーズです。

  2. ChatGPTアカウントでログイン

    既存のChatGPTアカウント(Free/Plus/Pro/Business)でログインすれば、すぐに使い始められます。

  3. 最初の依頼をしてみる

    まずは簡単な指示から試してみましょう。競合のWebサイトを1つ開き、サイドバーに以下のように入力します。

このページの主な特徴を5つ、箇条書きで教えて

Atlasを使いこなすコツ

  • 具体的な出力形式を指定する

    型(テンプレ)を決めるのが重要です。

    × 悪い例:「競合を比較して」

    ○ 良い例:「開いている3つのタブを、価格・無料プラン・サポート体制の3軸で表にまとめて」

  • 段階的に深掘りする

    最初は大枠を掴み、その後詳細を詰めていく使い方が効果的です。

    「このページの要点を3つ教えて」「1つ目の要点について、もっと詳しく説明して」「それをマーケティング施策に応用するなら?」

  • 複数タブを活用する

    複数のタブを同時に開き、「これら全てのページから〇〇を抽出して」と依頼すると、横断的な分析が一度にできます。

  • ブラウザメモリを活用した継続リサーチ

    「昨日調べた競合3社」「先週見ていたSNS広告のトレンド」など、過去の閲覧履歴を参照した依頼ができます。

  • 機密情報はページ可視性をオフに

    社内の機密データを扱う際は、アドレスバーのアイコンから「ChatGPT page visibility」を「Not allowed」に設定しましょう。そのページの内容はAIに送信されません。

注意点(利用前に)

  • 情報の正確性は必ずチェックを

    AIが抽出した情報が、必ずしも100%正確とは限りません。特に価格や数値データは、元のページで必ず確認する習慣をつけましょう。

  • 最終的な判断は人間が行う

    Atlasは「下書き」や「叩き台」を素早く作るツールです。そのまま提出するのではなく、必ず内容を確認し、ブランドの声やトーンに合わせて調整してください。

  • 現時点では macOS のみ

    Windows版やモバイル版は今後提供予定ですが、現時点ではmacOSユーザーのみが利用できます。

まとめ

Atlasは、マーケターの仕事を奪うツールではありません。むしろ、単純な情報収集や整理作業から解放し、本質的な思考や戦略立案に集中できる環境を提供してくれます。

  • 時間の削減 - 調査・比較・整理といった定型作業を大幅に短縮
  • 品質の向上 - より多くの情報を短時間で処理できるため、分析の精度が上がる
  • 創造性の解放 - ルーティンワークから解放され、戦略的思考に時間を使える

まずは、日常的に行っている競合調査の1つを、Atlasで試してみてください。「こんなに簡単になるのか」と驚くはずです。

参考情報

※本記事の内容は2025年10月末時点の情報に基づいています。機能やプランは今後変更される可能性があります。

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